電撃移籍も過去のこととして振り切っている西村の目には、すでに輝かしい未来予想図がきっちりと描かれていた。
西村は帰国後、開口一番全日プロ電撃移籍について西村は「裏切りでなくこれは亡命。相手の円満なんてあり得ない」と語り、「多大なる方々には迷惑を掛けてしまったけど、後悔はない」と古巣である無我ワールド・プロレスリングとの完全決別をあらためて強調した。
米国ではお世話になった人への挨拶回りに奔走した西村。その中の一人はドリー・ファンク・ジュニア。「今回の移籍を一番喜んでくれた。色々といいアイデアをいただきましたよ」とニヤリ。そのアイデアこそがドリーの招聘だというのだ。
西村には無我時代からドリーを招聘するプランがありながら様々な障害で暗礁に乗り上げていたが、「伝統と歴史のある全日本なら可能。煮詰めていきたい」と鼻息は荒く、「ドリーさんの最後の勇姿になるでしょうね」と来春をメドにした引退試合の構想を打ち明けた。
ドリーといえば、NWA世界王者として名を馳せ、弟のテリーとともにザ・ファンクスとして数々の名勝負を残している。1977年12月の世界オープンタッグ選手権でのアブドーラ・ザ・ブッチャー&ザ・シークとの一戦は今でも伝説の激闘として語り草になっている。
そのドリーと西村がタッグを組んで平成のファンクスを結成するというのだ。もちろん対戦カードも夢は広がる。「武藤&佐々木組との対決?面白いですね。十分にあり得ますよ」とし「ドリーさんは大乗り気ですよ」とタッグ結成に全面的協力をすでに取りつけていることも明かした。
日本中を熱狂させたあの感動が蘇ることになるのか。