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「時代」を彩った男と女・あの人は今 元祖アイドル球児・荒木大輔さん

 かつて日本中に「大ちゃんフィーバー」を起こした元祖アイドル球児・荒木大輔。現在は古巣・東京ヤクルトスワローズの投手コーチを務めるがその荒木に再びスポットライトが当たり始めている。来季にも、ついに「大輔監督」が誕生することが濃厚だからだ。

 荒木は早稲田実業時代に5季連続甲子園出場して全国に大フィーバーを巻き起こした。 高校野球関係者が語る。「荒木の人気ぶりは正直、斎藤佑樹よりはるかに上でしたね。斎藤の場合は割りと中年世代のファンが多いのですが、荒木は世代を超えていました。若い女性も多かったので、当時、赤ちゃんの名前ランキング1位に“大輔”が挙がったほどです。松坂大輔の母も荒木の名前から命名したのは有名な話ですけどね」。

 荒木は82年にドラフト1位でヤクルトに入団し、プロでも引き続き絶大な人気を誇った。当時、ファンの混乱を避けるために神宮球場にクラブハウスと球場を結ぶ「荒木トンネル」が出来たのも、その人気度を象徴するエピソードだ。プロでは3年目から先発ローテーション入りしたものの、右ひじの故障や椎間板ヘルニアなどに悩まされて現役通算39勝に終わったが、96年に引退後は野球解説者、インディアンス傘下の2Aアクロンにコーチ留学も経験。02年にはアジア競技大会、インターコンチネンタル杯などで日本代表投手コーチも務めた。04年から07年まで西武ライオンズ投手コーチを務め、08年からは古巣・ヤクルトで同コーチに就任した。
 球団に近いあるスポーツジャーナリストは「成績次第でもあるが高田監督は今季限りで勇退の見込み。その後の新監督の筆頭候補は荒木といわれています。理由は多々あります。まず、荒木は選手からも人望が厚い。西武コーチ時代には涌井を育て上げ、ヤクルト復帰後も自身の経験を生かして、とにかく選手にとってベストな環境作りをした上で指導力を発揮している。来季に荒木監督が誕生すれば低迷している集客面もアップが計れます。荒木新監督はヤクルトにとって最大の希望なんです」と解説する。
 また、今秋のドラフトでは荒木の早実の後輩でもある斎藤が1位指名候補でもある。この件でも荒木に寄せられる期待は大きい。「荒木はハンカチ王子ブームが起きたときに斎藤のことを心底心配していた。マスコミやファンの過熱で斎藤自身が潰されてしまうことを危惧したのです。スーパースターにはスーパースターにしか分からない苦悩もある。それも含めて全て分かって指導できるのは荒木しかいない。斎藤にとっては荒木と関われるか否かでプロ人生も大きく左右されることは間違いありません」(前出・ジャーナリスト)。あまりに共通点の多い荒木と斎藤が師弟の出会いをすることは運命の巡り合わせにも感じる。
 「大輔ブーム」で生まれた日本中の“大輔”たちもいまや適齢期で子供を持つ親になっている人も多い。“大輔”たちが自身の子供を連れて球場に押しかける可能性もある。元祖・アイドルの荒木が時を超えて再び大輔フィーバーを起こすことができるかどうか注目される。

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