新生K-1として初めて横浜アリーナで開催された「K-1 WORLD GP 2019 JAPAN ~よこはまつり~」 で、K-1 WORLD GPスーパーフェザー級王者・武尊が、フェザー級王座を返上して挑戦して来た村越優汰を相手に、拳のケガから約8か月ぶりの復帰戦を戦い、判定のうえ薄氷の勝利を飾った。
1ラウンドから前に出る武尊に対し、村越はサウスポースタイルからジャブを効果的に使い、相手に距離を詰めさせないなど、入念な「武尊対策」を練ってきたことを感じさせるファイトを見せる。
2ラウンドはサウスポーならではのハイやミドルキックを決めていく村越に、武尊は1ラウンド同様前に出続け、得意の右から繰り出すパンチで応戦。終盤は笑顔も見せながら向かっていった武尊が押していく展開となっていく。
最終ラウンドになると、更に前に出る武尊。対する村越もパンチで応酬し、K-1ならではの激しい打ち合いで会場は大ヒート。残り時間も少なくなったところで武尊がラッシュをかけたところでゴング。熱戦は判定まで縺れた。
ジャッジは30-29が2人、29-29のイーブンが1人と僅差の判定の上、武尊が復帰戦を勝利で飾った。
リング上でマイクを握った武尊は「KOを楽しみにしていた皆さんすみません」と、試合前にKO宣言をしていたこともあり、ファンに対して詫びを入れた後、「来年は東京オリンピックが開催されるんですけど、負けないくらいの格闘技の大会をやりましょう!皆が望んでいる試合を、来年のオリンピックイヤーに実現させたい」と、格闘技ファンの望む「あの」カード実現への野望をハッキリと口にした。最後は「K-1最高!」と絶叫し、横浜アリーナのリングを後にした。
試合後の会見で武尊は「反省の残る試合。自分の調整に課題が残った」とし、「8か月ぶり、ケガと色々(課題が)あるので来年に向けて治したい。心も体も噛みあっていなかった」と自己分析。しかし、新生K-1としての聖地・初横浜アリーナでの試合に「凄く良かった。景色が最高でした」と満足気なコメントを残すと、「来年はオリンピックイヤー。盛り上がる格闘技大会をK-1で実現して、最強を証明したい」と、ドリームマッチの実現へ向け気勢を上げた。
復帰戦は公言通りのKO勝利できなかったことで武尊は、代名詞とも言えるスマイルを見せることなく会見を後にした。しかし、K-1の象徴であるナチュラル・ボーン・クラッシャーは、来年へ向けてパーフェクトな姿でファンの期待を叶える覚悟だ。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘