『RIZIN.19』を振り返ろう。首都圏に台風が接近した12日に、エディオンアリーナ大阪で開催された『RIZIN.19』は放送時間を予定より短縮して放送された。だが、RISEの世界トーナメントで優勝したばかりの“ヴァンパイア・プリンス”白鳥大珠と、元K-1ファイター大雅の激闘を急きょ放送するという粋な計らいも。最後は生中継で朝倉海が、佐々木憂流迦の顎を砕くKO勝利でしっかりと締めた。番組としてのまとまりは素晴らしいものがあった。
試合後、RIZINバンタム級王者の堀口恭司がベルトを持って現れ「これは前回(8月18日愛知大会で)俺に勝った君のもの」とベルトを手渡す場面もあった。事実上、大晦日に堀口と、ニュースター朝倉海によるタイトルマッチが行われることが決まったと言ってもいいだろう。ゴールデンタイムでもインパクトのある勝ち方をした朝倉海は、兄の未来(みくる)とともに、スター街道を着実に歩んでいる。
ハム・ソヒと山本美憂の対決はソヒが制し、RIZIN女子ス―パーアトム級王者、浜崎朱加への挑戦権を獲得した。この試合も大晦日で実現するのはほぼ間違いない。ソヒは浜崎を唯一追い詰められる選手と言われている。絶対王者への道を歩み始めている浜崎にとっては、そんな声を吹き飛ばすぐらいの力の差を見せつけて勝ちたいところ。復帰を果たしたRENAや浅倉カンナにも刺激を与えられる存在。ここは踏ん張ってもらいたい。
番組の最後に流された大晦日の予告には、“神童”那須川天心の参戦と、ライト級グランプリ決勝戦の開催も明らかにされている。現在、拳の治療を行っている天心だが、大晦日には復帰すると明言。12日はRIZINの会場で、13日にはONEチャンピオンシップ東京・両国国技館大会でテレビ解説を務め、ライバル・ロッタンの試合も間近で観ている。天心の相手にはベラトールのキックボクサーも考えられるが、RIZINからしてみれば「お茶の間に届く」カードが欲しい。昨年のフロイド・メイウェザー級の選手は難しいにしても、何か面白いカードを考えている可能性は十分にある。
よりワールドワイドなステージを目指す第一歩になるであろう『RIZIN.20』に期待したい。
(どら増田 / 写真・垪和さえ)