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【コラム】プロ野球、セ・リーグ開幕は予定通りの3月25日でいいのか!?

 3月11日に東北地方を震源とした、東日本大震災。

 筆者はこちらのニュース記事を書く際の肩書き通りに秋葉原で地震発生の瞬間を迎え、電車が全く動かなくなったので、そこから12時間近く掛けて自宅まで歩いて帰ることになった。
 あれから1週間。今でも計画停電が行われたり、被災地付近では、死者、行方不明者が日々増えているという悲惨な状況が続いているが、こんな状態でプロ野球は予定通り3月25日に開幕出来るのかというのが気がかりにもなっていた。
 結論としてはパ・リーグは震源地に近い楽天の本拠地・クリネックススタジアム宮城が完全に使用不可能になっていることもあって、約2週間余り遅らせて4月12日に開幕となったが、セ・リーグは予定通りに3月25日に強行開幕ということだそうである。

 しかし、これについて現場の選手サイドからは猛反発の声が挙がっていて、古田敦也元ヤクルト監督や、現役選手では金本知憲選手(阪神)や宮本慎也選手(ヤクルト)らが大反対のコメントを表明している。お客さんとして試合を観戦に来る野球ファンも、ほとんどが3月25日開幕は早すぎるという意見を出している。

 個人的な気持ちとしても、冒頭に書いたように、今も日々犠牲者が増えている状況では、まだまだ全然野球どころではない状態だと言わざるを得ないと思う。NPBの主張としては、こんな状況だからこそ予定通りに開幕して、被災者に勇気を与えるためと説明しているそうだが、果たして被災者が、まだ野球を見られる状態まで回復しているのかどうかというのは疑問に思う。

 確かに今回に似た状況として、1995年の阪神大震災の例があり、この年は予定通りに公式戦を開幕して、被災地となった神戸を本拠地とするオリックスが「がんばろうKOBE」をスローガンに見事パ・リーグ優勝を果たし、神戸の被災地の人々を勇気付けた事実があるのは確かである。
 NPBが主張したいのは、この時のオリックスの例があるからなのかもしれないが、阪神大震災は、まだ開幕まで2か月半も猶予があった1月の出来事であった。それに対して今回の東日本大震災は、開幕までわずか2週間の時期である。当然わずか2週間では、まだ大混乱が全く収まっていないのではないだろうか? 被災地に一番近い楽天が所属するパ・リーグの開幕はセ・リーグより2週間遅れた4月12日とはいえ、それでも震災後わずか1か月である。阪神大震災の半分にも満たない期間である。

 しかし不謹慎かもしれないが、あえて言う。セ・リーグ開幕が予定通り3月25日とNPBが決定し、その通りにプレイボールを迎えるのなら、決まってしまった以上、もちろん巨人戦はテレビかラジオを通じて観戦するし、セ・リーグのあとの2カードもネットを通じて常に試合の動向を気に掛ける。
 もしかしたら開幕3連戦のうち、1試合は東京ドームに直接観戦に行くかもしれないが、一方で、もし開幕までの今後1週間の間に、選手会やファンが何かしら行動を開始してセ・リーグ開幕を遅らせることになったら、あるいは2004年に球界再編に関係するストライキがあったように、今回もストライキやボイコットといった事態が万が一起こることになったら、それもそれで今の情勢では正しいとも思う。
 いずれにしても、被災地を含めた日本全国が、早く落ち着いてプロ野球観戦が出来るような平穏を一日でも早く取り戻すことが一番の願いである。

(野球狂のアキバ系 伊藤博樹 山口敏太郎事務所)

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