search
とじる
トップ > トレンド > 連載ラノベ 夢ごこち(12)

連載ラノベ 夢ごこち(12)

 台所には、新しい冷蔵庫の他にも、簡易式の食器棚が増えていた。
 土間からあがり、居間へ入ると、伯母さんはエプロンを外していた。

 伯母さんは、やっぱり、胸が大きい。赤ちゃんだったころの健太君は、その大きな伯母さんの胸を、夢中で吸っていた。

 伯母さんの胸は、健太君が吸いつくと、健太君の顔を覆ったまま押し上げられた。伯母さんの胸のつけ根が絞られ、皮膚が寄って小刻みなしわができていた。たわんだふくらみに青い血管が走っていた。

 赤ちゃんだった健太君は、ピンク色の唇の周りも、ほっぺたも、つばでびちょびちょにしながら、伯母さんの胸を、夢中で吸っていた。

 健太君は、今でも、伯母さんの胸を吸っているのかな。
 もう、そんな年じゃないか。

 伯母さんが聞いてくれた。
 「美雪は、元気にしてる」

 「はい」
 「そうか。高校生活はどうだ」
 私の高校生活は、どうなのだろう。吉原君が「いつも、つまらなそうにしてる」とつぶやいた時の表情が思い浮かんだ。

 それから、初めてしてくれたキスも。
 すぐに終わっちゃったけど、ちゃんと、上下の唇で、私の唇を覆ってくれた。あったかくて、吉原君の吐く息が鼻にかかった。
 あと、一瞬だけ、濃いにおいがした。あれが、男の子の、におい。

 伯母さんが、声をかけてきた。
 「楽しそうだね」
 えっ、どうして。なんで、わかるんだろう。

 「どうしたんですか」

 伯母さんが、笑いながら答えた。
 「今、楽しそうな顔、してたよ」
 そうなんだ、私、そんな楽しそうな顔をしてたんだ。

 「はい、楽しくやってます」

 男の子と、もっと、たくさんキスしたら、男の子のにおいをかぎながら、伯母さんの胸を吸っていたときの健太君みたいに、私の唇は、ほっぺたも、つばだらけになっちゃうのかな。

 伯母さんが、また、うれしそうな顔をした。
 「ほんと、楽しそうね」
 伯母さんは、いつも、私のことを心配してくれる。

 伯母さんが、声をかけてくれた。
 「あと、お風呂は、健太は、土間でたらいにお湯を入れて、行水だけでもいんだけど…」
 伯母さんが、続けて、聞いてくれた。
 「美雪はどうする」

(つづく/文・竹内みちまろ/イラスト・ezu.&夜野青)

関連記事


トレンド→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

トレンド→

もっと見る→

注目タグ