11月14日に公開された動画は、洗面台で食器洗剤代わりにシャンプーを使用してコップを洗う、客の使用済みタオルでコップを拭く、清掃員自身のTシャツで仕上げを行う、ゴミ箱を物色し、コップの蓋を使用済みタオルと作業着で拭いて再利用する…などといった目を疑うものばかり。
この騒動は日本メディアでも大きく取り上げられた。中でも、ル ロイヤルメリディアン上海の清掃員による“コップの洗浄と便器の掃除で同じ雑巾を使用している”という行動に対しては、非難の声が殺到した。
これを受けて9日、上海市浦東新区衛生健康委員会は上海エリアの7つのホテルに全てに2000中国元(約31,851円)の罰金を科すと発表した。処罰は、用品の洗浄・消毒を行っていないことと、使い捨てアメニティを使い回したことに対するものだった。
しかし、Weiboユーザーからは「罰金が安すぎて笑った。大企業に配慮しすぎ」「罰金の額が、五つ星ホテルの一泊料金より安いじゃないか」「法律はお金持ちの味方ということだね」「罰金は上の人間ではなく、清掃員の給料から引かれていそう」などの声が。この罰金と処罰内容に不満を漏らす意見が多数見られた。
2018年1月にも、中国のホテルで同様のケースがあった。黒龍江省の五つ星の外資系ホテル3社で、トイレ清掃用のブラシでバスタブを掃除していたというもの。また、南部河南省の鄭州市にも、便器を拭いた1枚の雑巾でトイレから床掃除、コップなどの食器洗いなどをしていたというホテルがあった。いずれも地元テレビ局が報じたもので、清掃の実態が放送された後、これらのホテルは地元政府の衛生管理部門から厳重注意を受けたという。テレビ局のインタビューに応じた清掃員は「1人でワンフロアの20室から30室を担当しなければならず、過重労働が続いて一部屋一部屋をていねいに清掃する時間はない」と話していた。
五つ星ホテルを含むホテルの衛生管理状況がこの有り様では、安心して中国のホテルに泊まるのは難しくなってしまう。だが、その背景に人手不足や過重労働があるのであれば、それ自体を見直すことが必要となってくるだろう。
今回罰金を科されたのは以下の7軒。
「ザ・リッツ・カールトン上海 浦東」
「マンダリン オリエンタル 浦東 上海」
「ウォルドーフ・アストリア上海オン・ザ・ハンド」
「フォーシーズンズホテル 上海」
「ザ・プリ ホテル アンド スパ 上海」
「ル ロイヤルメリディアン上海」
「ブルガリホテル上海」