女性は、ネットショッピングのヘビーユーザーで、日常の買い物は、ほぼネット通販で済ませるという。しかし、自宅近くのZTOが、配達予定日に届けに来ず電話も不在票もないまま、荷物を無断で宅配便ロッカーに入れることが度々あったとのこと。その度に、女性はZTOへ苦情を言いに行ったそう。
11月11日は中国で「独身の日」と呼ばれ、ネットの大セールが行われる。この女性もその日に購入し、ZTOで9件の荷物を受け取る予定だった。しかし、ECサイトの追跡システムで配達状況を見ても、配達員が荷物を持ったまま4、5日経過しているのに届かなかった。女性は18日に最寄りのZTO配送センターに苦情を言いに行ったが、マネージャーの態度も悪く、「荷物は全部配送した」と言い張って、追い出されたというのだ。
これを受けて女性は19日午前、ZTO本社のコールセンターにクレームの連絡を入れた。その後、14時に前述の配送センターのマネージャーから、「クレームを取り消せ」という脅しの電話が入ったという。これに女性は怒り心頭、再び本社コールセンターにこの内容を伝えたところ、ZTOからお詫びのクーポン券が届いたという。
そうしたやり取りから数日経った24日の夜、女性の自宅に2件の荷物が届いた。この中身が、2着の「死装束」と1枚の「呪いの札」だったという。もちろんこれは女性が購入した商品ではなかった。
死装束とは、中国で寿衣(じゅい)と呼ばれ、納棺前に死者に着せる麻素材の衣装をいう。呪いの札は、符とまじないを用いて、呪術的なことを行う札である。女性は札を見た瞬間、不気味さを感じ、すぐ捨てたという。
女性は、その死装束の写真と追跡結果のスクリーンショットをアップし、これが中国最大のSNSであるWeibo(ウェイボー)で大拡散される事態に。ネットでは「俺なら死装束を着て、配送センターの前で冥銭を燃やす」など怒りの声や、「友人はうんこの入った箱をもらったことがある」という類似事件、「配達員が個人情報を握っているから、クレームが言えない」といった事情から女性の勇気を称賛する声などが多く集まった。一方で、「セールのせいで山積みの荷物、配送員がかわいそう」「文句があるなら店舗で買え」といった配達員の労働環境を同情する声も上がっていた。
日本でもネットショッピングは急激に拡大する一方で、依然として人手不足は解消されていない。配達量の問題を根本的に解決しない限り、中国においても日本においても宅配便のトラブルは減ることがなさそうだ。