強盗殺人容疑で逮捕、送検されたが、キャッシュカードを奪う目的が殺害前にあったことを示す証拠がないため、地検は殺人と窃盗の罪を適用した。
容疑は、6月11日夜、無職・梅井清さん(当時70=同区今熊野南日吉町)の自宅マンションで、梅井さんに精神安定剤を飲ませて眠らせ、首を電気コードで絞めて殺害。 キャッシュカード1枚を奪い、衣服を脱がせて遺体を浴室内に移動させて放置した疑い。2人は約2年前に知り合い、交際していた。梅井さんは7月12日に、自宅マンションで死後1カ月が経過したとみられる遺体で見つかった。
矢野容疑者は、殺害の数日前、交際していた梅井さんから、「金銭トラブルで暴力を受けたことが許せなかったなどと供述。生活費をパチンコなどに使い、カネに困っていたという。
殺害後、梅井さんのキャッシュカードを使い、2回にわたり現金約12万円を引き出したとされる。7月14日に窃盗容疑で京都府警に逮捕され、同月27日には、強盗殺人と死体遺棄容疑で再逮捕されていた。
「暴力を受けた」とする矢野容疑者の供述を聞く限りは、必ずしもカネだけが目的の犯行ではないのだろう。だが、額の問題ではないとはいえ、12万円のために人をあやめるとは、なんとも物悲しい事件である。
(蔵元英二)