訓練は、東京湾岸北部を震源とする強い地震が発生したとの想定で、都内各会場で実施された。エセックスは葛西臨海公園(江戸川区)の沖合約4.5kmの洋上で待機。“子機”のホバークラフト式揚陸艇LCACを陸に放ち、同公園に避難した帰宅困難者役の都職員ら97人を収容すると、洋上でドッキングした。
在日米軍によると、エセックスは長崎・佐世保に前方配備され、垂直離着陸できる多目的攻撃機AV-8Bハリアーや、ミサイル、ロケットを搭載した多用途攻撃ヘリAH-1Zスーパーコブラなどが着艦。毎分3000発の20?ガトリング砲を発射する自動追尾型迎撃システムや、レーダー誘導型のシースパロー対艦ミサイルシステムを装備するハイテク艦という。上空のナイトホークから見た同艦は「でかすぎる!」のひとこと。
米艦船が都の防災訓練に参加するのは3年連続になる。在日米海軍司令官のジェームズ・ケリー少将は、艦内で帰宅困難者役らに「防災訓練にまた米海軍艦船が参加できて光栄だ。もしも関東大震災クラスが発生したら、海上からの支援は不可欠」などとあいさつ。艦内ミニ見学ツアーが組まれた。
エセックスは全長約257mで4万650t、最大乗組員数3000人の大型艦。一昨年参加したフリーゲート艦「ゲイリー」(全長約138m、4100t)や、昨年のドック型揚陸艦「トーテュガ」(同186m、1万6568t)よりはるかに大きい。
「別名は『鉄のワニ』。トーテュガや横須賀基地の米艦船の多くはコマンダー(中佐)が艦長を務めているけど、エセックスの艦長はキャプテン(大佐)だからね」(在日米軍関係者)という。参加艦船は年々ランクアップしている。
昨年は天候不良のため、石原知事の乗る自衛隊ヘリがトーテュガに着艦できなかった。今年は無事着艦。艦長や乗組員に直立不動の敬礼で迎えられると、知事は敬礼ポーズでこたえた。
エセックスは手術室6室、集中治療室(ICU)14床と入院病棟など医療施設が充実しており、在日米軍によると600床の民間病院に匹敵するという。ICUを視察した知事は「たいへん心強い」と述べた。
昨年のトーテュガは横須賀港まで帰宅困難者役を運び、航行中に米軍によるギターライブやバーベキューパーティー、土産物販売などがあったが、今年はなし。短時間の滞在でLCACで葛西臨海公園にUターンし、冷水がふるまわれるにとどまった。
それにしても燃料高騰の折、よくもこれだけ壮大なスケールの訓練を強行したものだ。