発表の場で豊田社長は「従来、車に求められていた“走る”“止まる”“曲がる”に加え、“つながる”が求められている」と述べ、両車ともにDCM(データ・コミュニケーション・モジュール)というシステムを搭載。インターネットに接続が可能で、多様なサービスを受けることができる「コネクテッドカー(つながる車)」と位置付けた。
「トヨタは、もともと高級車ブランド『レクサス』でコネクテッドサービスを提供していましたが、今回をきっかけに、2020年までに日米で販売するすべての新車に搭載させる予定です。コネクテッドカーは欧米の自動車メーカーに加え、グーグルやアップルなどのIT大手も急ピッチで開発を進めている。これらのライバルに対し、世界中に数多くあるトヨタ車の走行記録などのビッグデータを収集して自動運転の開発にも活用させ、対抗するといいます」(業界関係者)
コネクテッドカーの活用は、それだけではない。自動車運転中の意識喪失による事故などを防ぐことにもつながるという。
ある損害保険会社関係者はこう言う。
「近年は意識不明となった運転手による自動車事故が多発している。いくら自分は安全運転をしていても相手の過失による事故があまりに多く、それが怖くて運転を躊躇してしまう人もいるほどです」
しかし、運転者の健康状態も常に把握されると言われるコネクテッドカーが普及すれば、そうした事故も減ることが期待される。
「ただし、ようやくスマホを使いこなせるようになった中高年にとっては、車選びにまでややこしいネットの波が襲ってきたように思える。これが、若者のみならず中高年の車離れにつながる危険性も孕んでいるのです」(前出・関係者)
誰にも優しいIT化と言ってもセーフティーとセキュリティの共存は難しいと言える。情報系のシステムが攻撃を受け、制御系に影響が及ぶケースもあるからだ。モータリゼーション新時代の扉は重そうだ。