みやぞんは、2016年4月に放送された『本能Z』(CBCテレビ)の中で、自分が“隠し子”であるとカミングアウトしている。父親が異なる5人姉弟の末っ子として生まれ、母親が早く離婚したため母子家庭という複雑な家庭環境で育ったようだ。とはいえ、褒め上手で奔放な母親の影響を受け、みやぞんは伸び伸びと成長。少年時代はクラスの人気者だったという。相方・あらぽんとは保育園からの幼なじみで、中学生の頃から漫才のネタを披露していたようだ。
2009年11月、知り合いを通じてお笑いコンビ、キャイーン・ウド鈴木に会ったことがきっかけで現在の事務所に所属。芸風は漫才から出身地である「(東京都)足立区の治安の悪さ」にまつわるギター漫談というスタイルに変化し、定着していく。お笑いライブなどで地道に活動を行うも、なかなか芸人としてテレビ出演のチャンスは訪れなかった。『女性自身』の取材によると、2008年から約8年間、みやぞんは知的障害者向けの福祉サービス事業所で正規職員として働いていたという。当時のみやぞんを知る施設長は、「とってもおとなしい性格の人」「静かに淡々と(仕事を)こなしていた」と同誌の中で語っている。みやぞんは、どんな場面でも懸命にひた走るタイプなのだろう。
まだまだ無名時代だった2011年8月、意外にもみやぞんは『人志松本の〇〇な話』(フジテレビ系)に出演している。この番組は、自身の持つ鉄板のエピソードを語りダウンタウン・松本人志が“どんな話だったかを決定する”というシンプルな内容。この番組でみやぞんは、自身の“天然っぷり”を封印。若手芸人らしく緊張の面持ちで霊感の強い母親の話をハキハキと語り、しっかりとしたオチで笑いを起こしている。今とは全く違うキャラクターだが、当時を知る伊集院光によると「おバカが利口を演じることで、中途半端なところに行っていた」という。この頃は、みやぞん自身も迷走状態にあったようだ。もう1つ意外なところでは、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)のワンコーナー「空耳アワー」の再現映像に役者として出演。たまたまみやぞんを見かけた番組ディレクターが「空耳顔だ」と出演をオファー。みやぞんは喜んでこれを引き受けたが、実際には全裸の役ばかりだった。2017年9月に放送された同番組の企画「空耳アワード」の中で、みやぞんがVTR出演し「(裸であれば)顔が関係ないとは思ってたんですよね、正直」「それでも嬉しかったです」と感謝している。それほど当時はテレビの露出が少なかったのだろう。
なんと言ってもブレイクのきっかけは2016年6月に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)だろう。数組いた若手芸人の中にANZEN漫才の2人が出演していた。みやぞんが高校時代、野球部のエースで4番だったという経歴を話すと、とんねるず・石橋貴明から「東京都大会どこまで行ったの?」と質問され「東京都大会っていうのがよくわらないです」と返すなど天然っぷりを炸裂。とんねるずの2人がドハマりし、一気にその名が知れ渡ることになった。その後も『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)、『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)で抜擢されるなどバラエティ番組からのオファーが絶えず、現在の活躍に至っている。
今でこそ大人気のみやぞんだが、正規職員となり、キャラ変に悩み、意外な番組に出演するなど苦労が絶えなかったようだ。今後も変わらぬ頑張りと愛嬌で、見る者を楽しませてくれるに違いない。