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V9野球はアマで開花

 江藤省三監督(68)が就任早々11シーズンぶりに慶大を優勝させた快挙に、ソフトバンク・王貞治球団会長(70)が大喜びしている。「日本の野球界にとっては、本当によかったと思っている」と。

 王会長にとって可愛い早実の後輩、早大の主将でありエースの斎藤佑樹が打たれ、優勝を逸したのだから、悔しいはずだ。が、「個人的には斎藤が負けたのは残念だが、日本の野球界全体を考えたら、慶大が優勝して良かった」と、高所、大所に立っての意義を繰り返し強調する。
 「プロ野球のOB監督が優勝したことに深い意味があるんだ。他の大学でも頑張っている監督がいるし、これでさらに『頑張ろう』という気持ちになるだろう」。今年のドラフト1位候補の沢村拓一を育てた中大・高橋善正監督。V9左腕エースの高橋一三氏は山梨学院大学の監督を務めている。慶大・江藤監督はじめ3人ともV9巨人時代の王会長のチームメートでもある。
 江藤監督がV2の66年からV4の68年まで巨人に在籍。高橋善正監督はV9の73年に東映から巨人に移籍している。高橋一三監督はV9の胴上げ投手として知られている。「巨人というのは、我々の時代から常に勝つことを求められていた特別なチームだ」という強い自負を持つ王球団会長にとって、V9魂がアマ球界に浸透、レベルアップの役に立つのは何よりもうれしいのだ。
 実際に慶大の選手に対し、1日1000本以上の素振りをさせている江藤監督は「長嶋さんや王さんも誰よりも素振りを多くやり、あれだけの選手になった」と言い聞かせている。ONの話を例に出されれば、選手は文句を言わずにやるのは当然だ。「へーエッ、オレの現役時代の話なんかしているの?」と言いながら、王会長は満面の笑みを漏らす。
 高橋善正監督、高橋一三監督も、自他共に認める球界のリーダーだったV9巨人時代の貴重な体験を披露、選手たちも興味津々に耳を傾けているだろう。オーソドックスなV9巨人野球とその魂をアマ球界に伝えることの意味の大きさは、王球団会長が強調する通りだろう。

 プロ野球界では、「V9巨人時代の終焉」がささやかれている。ヤクルト・高田繁監督がチームの不振の責任を取り、電撃辞任。V9巨人のレギュラー戦士が全員ユニホームを脱いだからだ。「彼(高田)も彼なりに精一杯やったけどね。残念だけど、仕方ない」。こう語っていた王球団会長だが、アマ球界にV9巨人魂が継承されれば、満足だろう。「V9巨人時代の終焉」どころか、「V9巨人時代の新しい始まり」になるからだ。
 プロ野球界でも、王会長、巨人・長嶋茂雄終身名誉監督、社団法人全国野球振興会・黒江透修会長(日本プロ野球OBクラブ会長)と、ユニホームから背広に変わっても、V9巨人のメンバーは要職に就いている。高田氏もゼネラルマネージャーとして日本ハムを常勝チームに仕立てた実績を持っている。今後、フロントとして日本球界に貢献する道がある。「巨人軍は永久に不滅です」という、長嶋氏の言葉を借りれば、「V9巨人は永久に不滅」だ。

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