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日本人メジャーリーガーはどうなる? 高橋尚成編

 メジャー3年目は『真価』を問われるシーズンになりそうだ。ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムの高橋尚成(36)は、昨季、マイク・ソーシア監督の信頼を勝ち取ることができなかった。出場試合数はメッツ時代の「53」から「61」に増え、防御率も「3.61」から「3.44」にアップした。しかし、勝敗数は「10勝6敗8セーブ」から「4勝3敗2セーブ」にダウンした。
 「内外角のストライクゾーンのギリギリのところに投げ分けていたコントロールを失い、甘く入ったところを痛打されていた…。昨季はそんなシーズンだったと思います。とくに序盤戦は高橋が打たれて試合主導権を失っていました。ソーシア監督は高橋を僅差のゲームで使うのを躊躇い、スポット的な先発起用が検討された8月にもゴーサインを出しませんでした」(米国メディア陣の1人)
 5月以降、勝ち試合でも使われるようになったが、好不調の波が大きかった。

 高橋も自身の立場は分かっている。メッツ時代の2010年、ナ・リーグのスラッガーたちを翻弄させたのはシンカーだった。米国の野球報道では「バルカンチェンジ」と呼ばれていて、その決め球を引き立たせていたのは『制球力』と『球種の多さ』だった。高橋も前者を喪失した昨季序盤の失敗は十分に理解している。関係者によれば、「高橋の自主トレ期間中のトレーニングは独特」だと言う。
 「肩の周辺をウエイトトレーニングで鍛える投手はたくさんいます。高橋は二の腕、手首、指の動きに重点を置いたトレーニングをしています。巨人時代から信頼を置いているトレーナーの助言によるものです」
 昨年オフは、「近年でももっとも充実したトレーニングができた」(同)という。一昨年はメッツでブレイクし、09年オフはキャンプ直前までメジャー球団と契約できず、練習に専念できなかった。その成果はオープン戦に表れていた。「初失点が7試合目の登板」(4月3日/現地時間)だから、昨季のように序盤戦で躓くことはないだろう。

 ソーシア監督は高橋を“便利屋”と位置づけている。良い意味で、先に述べたように先発、セットアッパー、クローザーのポジションがこなせるからだが、高橋本人は先発1本でやりたいと考えている。しかし、今季のエンゼルス先発陣はかなり豪華だ。C.J.ウィルソン(前レンジャーズ)、ジャレッド・ウィーバー、ダン・ヘイレン、アーヴィン・サンターナ、ジェローム・ウィリアムズ、ギャレッド・リチャーズ…。昨季の成績だけでも、ウィルソン(16勝)、ウィーバー(18勝)、ヘイレン(16勝)の3人で50勝に到達する。このなかに割って入るよりも、クローザーのジョーダン・ウォルデンと争った方が良いのではないだろうか。
 ウォルデンは昨季、32セーブを挙げたが、救援失敗が「10」もある。ソーシア監督は24歳の彼を育てたいとしつつも、一抹の不安を抱いている。ウォルデンには160キロのストレートがあるが、高橋のような制球力はない。
 いずれにせよ、高橋はリリーバーとしてのスタートになりそうだ。

※メジャーリーグの選手、監督首脳陣等のカタカナ表記は、ベースボールマガジン社刊『週刊ベースボール』(2012年2月13・20日号)を参考にいたしました。

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