「伊東勤監督は昨年に続き、左投手の補強を求めたようですね」(球界関係者)
即戦力系なら、有原。松本に対しては「一軍昇格までさほど時間は掛からない」とも評されている。だが、現場の要望に応えるのなら、左腕投手ということになる。有原は故障で今季はほとんど投げていない。プロ入り後も暫く“様子見”が続くのであれば、九州産業大の左腕・浜田智博、地元出身・加藤貴之(左投左打/新日鐵住友かずさマジック)に切り換えてくるのではないだろうか。
「国内FA権を取得した成瀬善久の周辺が騒がしくなっています。球団が引き止めきれなかった場合を考えると、左の先発タイプの補強は必須事項となります」(関係者)
千葉ロッテがスカウト会議を招集したのは、10月15日。3時間半に及ぶロングランになり、「1位候補を絞りきれず、揉めたのだろう」との声も聞かれたが、この時期にロング・ミーティングを開くのは毎年の恒例行事なのである。下位指名にまで及ぶドラフト候補を映像で確認するためで、地区担当がまとめたレポートに“過大評価”がないかどうかを、他地区担当スカウトが意見するのだという。
この会議後、伊東監督は「(1位候補は)21日に決まると思う」と記者団にコメントしている。関係者によれば、野手の映像も見せられたそうだ。1位候補を絞り込むのも次回に持ち越すのも、予定通りなのだろう。
野手の指名だが、ベテラン・井口資仁の打率が2割3分8厘まで落ち込んだこともあり、長打力のある内野手の補強が予想されている。高濱卓也の弟・祐仁(横浜高)がクローズアップされている。昨夏の神奈川県大会で松井裕樹(現楽天)からセンターバックスクリーンに放った本塁打で、長打力を秘めた打撃センスは証明済み。大嶺兄弟に継ぐ“ブラザーズ”としても人気を呼びそうだ。
外野手も指名すると思われる。戦力的に見て不足はないが、ロッテスカウト陣は今夏の甲子園で『異例な動き』を見せている。ベスト8・健大高崎が戦った4試合中3試合を複数制で視察している。同校の注目選手は、脇本直人外野手。長打力があって、単独スチールもできる左バッターだ。ヤクルト、西武も高く評価していると聞く。千葉ロッテは外野手層の厚いが、こうしたスカウト陣の熱意からして、上位指名もあり得るのではないだろうか。
昨年は社会人・日本生命から吉原正平(投手)、井上晴哉(内野手)の2人を指名した。同社は他球団の指名を含め、一度に4人の主力をプロに送り出したことになるが、他球団が驚いたのは、井上の指名。二軍球宴でMVPを獲得するなどの活躍は今さらだが、井上は守備難で、中央大学時代も指名を見送られた経緯もあった。「指名した選手をどう使っていくのか」という明確なビジョンがあるのだろう。