同店は新梅田食堂街の入り口にあり、たこ焼きの料金は6個で480円とやや高めだが、生タコの使用と豊富なメニューが人気の店だ。店頭には連日行列ができ、外国人観光客も多い。
所得隠しの手口は現金決済をいいことに、レジを操作して売り上げ記録をごまかすという極めて単純、意図的で悪質なもの。これに関して運営会社はノーコメントだ。
今回の摘発は、連日の行列の割には納税額が少ないことに目をつけた国税当局の粘り強い潜入捜査によるものだという。たこ焼きといえば、昨年7月に大阪城公園でたこ焼きを販売する飲食店が、3年間で約1億3000万円の脱税が発覚して摘発された。今回はそれ以来の大型事件になる。
それにしても、驚かされるのは安くてうまい大阪ソウルフードの代表格のたこ焼きが、国税にマークされるほど利益を上げていたということだ。
「実は、摘発の経過がマスコミに意図的にリークされていたという情報もある。つまり、屋台のような店でやっていても見逃しませんよ、という警告です。この手の店には納税意識がルーズなところが多いですからね」(国税OB)
国税当局が、インバウンド景気に沸くB級グルメに厳しい目を向けている実態が明らかになった格好だ。
「お客さんの中に、ちょっと目つきの変わったのがおったら内偵か、と思ってしまう。やりにくいわ」(某たこ焼き店主)
大阪・道頓堀は1、2を争う粉もんのメッカだ。たこ焼き、お好み焼きの屋台は、街の文化として溶け込んでいる感がある。観光客や市民からは「節税のシワ寄せが味やボリュームにきたらちょっと寂しい」との声も出ているが…。