現状を伝える各メディアの報道によると、貴景勝は現時点で出場の可否を明確にしてはいない。しかし、16日に昇進披露宴を行ったばかりの大関は、仮に欠場すると、年6場所制定着(1958年)以降では、史上ワースト記録となる2場所での大関陥落となる。これらの事柄を考えると、恐らくは出場という決断を下すことが濃厚だ。
怪我の悪化を危惧し、「まだ若いから無理をする必要はない」、「治らなければ休んだ方がいい」と欠場を勧めるファンも多い名古屋場所。だが、出場するならば追い風となりそうなデータもある。それは陥落力士の少なさだ。
1958年に定められた「3場所連続での負け越し」という陥落規定が、現行の「2場所連続での負け越し」と改められたのは1969年名古屋場所から。そこから現在に至るまで、大関が関脇に陥落した例は21例(18人)を数える。
ただ、この21例の中で、名古屋場所が舞台となったのは武双山(2000年)、出島(2001年)の2例。また、名古屋場所では2001年から昨年まで、17年間陥落劇が起こっていない。
秋場所(東京・両国国技館)で2ケタ以上をマークすれば、名古屋場所で休場しても大関には戻れるが、思惑通りに白星を挙げられる保証はどこにもない。もちろん、経過が悪ければ休場が第一だが、回復が順調ならば縁起のいい場所にチャレンジする価値はあるのではないだろうか。
文 / 柴田雅人