期待と重圧のかかる15日間を見事に乗り越えた栃ノ心は、“カムバック”を果たす場所で一体どのような成績を残すのか。今回は過去の大関復帰5力士の翌場所成績を元に、栃ノ心の名古屋場所を占っていきたい。
栃ノ心以前に大関復帰を果たした例は、三重ノ海(1976年名古屋)、貴ノ浪(2000年初)、武双山(2000年秋)、栃東(2004年名古屋、2005年初)の5例(4力士)。その翌場所成績は以下の通りとなっている。
三重ノ海
○○○●●●○●●○○●○○○ 9勝6敗
貴ノ浪
○●○○●●●●●○○●○○● 7勝8敗
武双山
●○○●○○●●○○●○○○● 9勝6敗
栃東(1回目)
○○●■ややややややややややや 2勝2敗11休
栃東(2回目)
●●○○●○○○●●○○○○○ 10勝5敗
三重ノ海、武双山、栃東(2回目)はそれぞれ勝ち越し。一方、貴ノ浪、栃東(1回目)は負け越しに終わり、復帰場所でいきなりカド番に転落している。
なお、この両名はその翌場所でも負け越し(貴ノ浪6勝9敗、栃東3勝3敗9分)、再び大関の座を追われている。このことを考えると、栃ノ心も負け越しだけは何としても避けなければならないだろう。
勝ち越した力士は、いずれも15日間の中で3連勝以上をマークしている。一つの白星で得た勢いを、なるべく維持することが好成績へ向けた鍵になるといえる。
また過去に複数回、負傷を経験した栃ノ心にとっては、15日間のコンディション管理も必要不可欠な要素。持ち味の怪力による強引な相撲には相応の負担がかかるため、格下と対戦する序盤はなるべく体力を温存しながら白星を拾いたいところだ。
せっかくの大関復帰を、“短命”に終わらせては本末転倒。今後の様子見という意味でも、まずは勝ち越しというのが現実的な目標ではないだろうか。
文 / 柴田雅人