サクラの名所には風情のかけらもない連中が殺到して、さぞ美観を損ねていることだろう。
前日からの壮絶な場所取り合戦…さらには大声・セクハラ・酔っぱらい同士の大喧嘩。
近所迷惑をかえりみないドンチャン騒ぎに辟易している方も多いはず。
そこで編集部では、浮き世を離れて優雅に貸切クルージングを敢行。
最近では花見スポットとして人気急上昇中の目黒川を、ビール片手にボートで周遊することにした。
まあ実のところ、クルージングとは名ばかりの難民船のようなボロ船ではあったが、10人集めれば1人あたま1500円とお手頃価格。
おまけに迷惑な花見客もいなければ、場所取りの必要もない。
時間もなければ金もないという貧乏ライターにとっては実にありがたい。
しかし、意気揚々に集まった面々を待ち受けていたのは、あいにくの雨模様。
そして春だというのに、寒すぎる気温。
今回ばかりはキャンセルという選択肢もあったが、締め切りも間近で他に時間を取れるあてもない。
傘とブランケットを借りて、雨の目黒川へと漕ぎ出すことにした。
いっこうに止まぬ雨の中、目黒川の花見スポットで記念撮影をしたあと、しばらく橋の下で雨宿りをしていると、船長からこんな提案があった。
「このまま目黒川を進むと、雨宿りできる橋も少なくなってきます。そこで、これから引き返してお台場方面にコースを変えてみてはどうでしょうか? 雨が強くなってきたら、レインボーブリッジの下で雨宿りもできますし…」
寒いわ冷たいわで一気にテンションの下がりはじめている一同は、「もうどうでもいいわ」といった感じで、船長にお任せすることにした。
だが、ここでミラクルが起こる。
目黒川を脱出して海辺に出ると、磯の匂いとともに絶景のイルミネーションが広がったのである。
海面に浮かび上がるレインボーブリッジ、ビル群の隙間から先端だけ見える東京タワー。
さらには船着き場のついた高級マンション、海上保安庁の巡視船や工場萌えにはたまらない工業地帯。
船長の解説つきで巡ると、実にわかりやすく面白い。
聞けば、NHKで放映されていた『ブラタモリ』という番組でタモリも絶賛したコースなのだという。
クルージングの後半には雨もやみ、かえって空は晴れわたって、海面に映るネオンの光をいっそう際立たせていた。
もちろん海岸沿いには桜の花も咲き誇り、ライトアップされている。
雨のおかげで、むしろ得をしてしまった気分である。
たった1500円でブラタモ体験。
実に有意義なひと時が過ごせた。
このクルージングの模様は、同乗した大崎のキャラクター「一番太郎」くんがブログやtwitterで紹介している。
案内してくれた旅行会社さんへのリンクも載っているので、ぜひご覧いただきたい。
◆大崎一番ブログ「目黒川夜桜クルーズいったよ☆」
http://o-saki.jugem.jp/?eid=420
ちなみに今年の貸切クルージングは、好評につき予約は締め切られている模様。
興味を持たれた方は、ぜひ来年。
しかし今回のクルージングは正規のルートではないので、旅行会社さんにはあまり迷惑のかからぬよう、ご注意いただきたい。
しかし予約する際に相談すると、もしかするとあなたも…。
(犬山秋彦 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou