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『積水ハウス』阿部会長が予測できなかった“地面師被害”再調査の時限爆弾

 大手住宅メーカー・積水ハウス(本社=大阪)が揺れに揺れている。 阿部俊則会長の「身の処し方」が問われているのだ。積水では、和田勇氏(当時会長)の海外、阿部氏の国内という役割分担ができていた。しかも、『海喜館』(詐欺事件物件)は当時、「阿部社長の直轄案件」として決裁されており、忖度した現場が、強引にでも購入を進めようとする環境にあった。それも含めて、調査対策委員会は「阿部氏の責任は重い」とし、その責任を問おうとした和田氏だったが、事前の多数派工作をしていた阿部氏の逆襲にあって、退任を余儀なくされたという経緯がある。

 被害に遭った、『海喜館』地面師詐欺事件。同社ではその責任の所在を巡り、事件当時の社長だった阿部氏が社内クーデター(1月24日)を起こして会長に就任したが、第三者による調査対策委員会の報告により、ここへ来て大混乱に陥っているという。

 積水ハウスは昨年6月、東京都品川区の老舗旅館の土地約2000平方メートルの分譲マンション用地の購入で地面師グループの詐欺に遭った。結果、63億円を騙し取られ、8月に警視庁に被害届を出したことで事が世間の明るみに出た。
 「この土地の所有者は旅館の女将でしたが、地面師グループは女将のなりすまし役の女性を使い、偽造したパスポートと印鑑証明で積水を騙した。ただし、この売買は当時社長だった阿部現会長の決済案件。そのため当時会長の和田勇氏が取締役会で阿部氏の責任を追及して退陣を迫ったのですが、採決では賛成反対で5対5となった。その後開かれた1月24日の取締役会では、阿部氏が逆に和田氏に対する責任を問い、多数派工作で返り討ちにして和田氏が会長辞任に追い込まれたんです」(社会部記者)

 一方で、事件について調査を進めていた社外役員による調査対策委員会が、3月に入り「担当部署が書面での本人確認を過度に信頼し、調査不十分な状況で契約を進めてしまった」としたうえで、「当時社長だった阿部氏にも経営上、重い責任がある」と指摘する報告書を発表したのだ。
 社内事情に詳しい不動産業者はこう言う。
 「積水には、所有者の女将の親族から“売買に応じていない”との内容証明郵便が届いていましたが、阿部氏は聞く耳を持たなかったため、結局、騙されてしまった。社員としても、阿部氏の決済物件だから実行せざるを得ない状況だったんです。積水の個人株主が、阿部氏に損害賠償を求める訴えを起こすことも明らかになっています」(同)

 地面師犯は芋づる式に逮捕されているが、阿部氏に“再調査”という時限爆弾が動いていたとは予測できなかったようだ。

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