まず、朝の時間帯、『ルックルックこんにちは』、『モーニングEYE』、『おはよう!ナイスデイ』と各局のワイドショーで一斉に報じられているのが、とんねるず石橋貴明のハワイ挙式。もちろんこれは現在の妻・鈴木保奈美ではなく、前妻である元モデルとの結婚式だ。前年からは冠番組『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジテレビ系)が始まっており、石橋にとってはまさに人気絶頂の頃だろう。
昼の番組に目を向けると、『笑っていいとも!』のほか、テレビ朝日系では萩本欽一司会の『欽ちゃんのどこまで笑うの!?』というクイズバラエティがオンエアされている。そう、欽ちゃんが帯番組をやっていた時代もあったのだ。さらに、TBS系では山城新伍が、冨士眞奈美や五月みどりら熟女軍団とトークするワイドショー『新伍のお待ちどおさま』。
そして、ナゾだったのがNHK。12時20分から45分まで流れていた番組のタイトルは『おもち101』。しかも、出演者にせんだみつおの名前があるのだ。共演者は牧野哲大という料理研究家。餅料理でも紹介する番組だったのだろうか。
フジテレビ系の夜7時からは2時間特番『新春!大相撲部屋別対抗歌合戦』。司会は高島忠夫・寿美花代夫妻で、ほか出演者は朝潮、逆鉾、寺尾、霧島、旭道山ら“歌うま”力士ばかりだ。今では考えられない番組だろう。
TBS系の夜8時からは『風雲!たけし城』。さらに、夜9時からは斉藤由貴主演のドラマ『はいすくーる落書』の初回が放送。これは斉藤演じるお嬢様が、不良高校の教師になるという物語で、1話目のタイトルは「先生、もんでやるぜ!」。……何かいろいろ妄想してしまう。
だが、バカを言っていられるのはこの日まで。翌1月07日には日本が一変する。昭和天皇が崩御し、元号が昭和から平成に代わるのだ。これを受けてテレビはさまざまな番組の放送を取りやめる。世に言う「自粛」である。今や震災や殺人事件などで何かと放送を自粛するテレビだが、その自粛ブームのキッカケはまさにここからだった。つまり1989年1月6日は、テレビが面白かった最後の日となったのである。