その東京ヤクルトが何故、ペナントレースの命運を握っているか? 01年以降、9年連続で巨人戦に負け越している。巨人を独走させた“張本人”だからである。
「最多勝の館山(昌平)が対巨人戦で2勝3敗、13勝の石川(雅規)は3試合に登板して、1勝もできませんでした。打線にしても、中軸の青木(宣親)が2割6分7厘、デントナは1割7分5厘ですからね」(在京球団スコアラー)
巨人との対戦成績は、8連敗を含む5勝18敗1分け。しかし、巨人追撃の最右翼と目された落合中日とは13勝11敗、後半戦に上昇ムードを掴んだ真弓阪神にも15勝9敗と勝ち越している。
これでは、巨人の援護射撃をしているようなものだ。
「最下位の横浜は尾花(高夫)新監督を迎え、大量なトレードも行いました。不況のせいもあるが、ヤクルトは補強らしい補強をしていません」(前出・同)
不況といえば、ヤクルトナインの士気を奪うような『経費節減』が敢行されていた。
クライマックスシリーズ進出が決まる直前から、「(第1ステージ主催権がある2位・中日の本拠地)名古屋まで行けない。神宮球場でパブリックビューイング(PV)をやってほしい」というファンの声が多数寄せられた。
PVとは、神宮球場・バックスクリーンで落合中日との一戦をライブ中継するもの。球団内には前向きな声も聞かれたが、「警備面などの諸経費を合わせたら、3試合で250万円くらいかかる」ことが分かるなり、立ち消えになってしまった。パ・リーグ3位のソフトバンクが福岡でPVをピーアールしていたのとは対照的なだけに、ヤクルトナインは愕然としていた。
「選手が試合中に使うタオル、試合後のシャワー室に常備されているバスタオルも経費節減の対象にされました。『1人で2枚も3枚も使うな』と…」(関係者談)
今季、高田監督は3年契約の最終年を迎える。就任1年目は5位。チーム成績そのものは上がっており、球団はゼネラルマネージャーとしてのフロント入りも期待しているが、こんな状態では巨人に一矢を報いることはできない。不況なのは分かるが、選手の士気を奪うような経費節減は致命傷にもなり兼ねない。