アポなし同然で「とにかく今から行きますから」という中松氏。編集局に乗り込むや、どっかとイスに座り込んだ。
「いいですか。幸福実現党は小選挙区、比例区あわせて337人の候補者を立てています。民主(330)、自民(326)、共産(171)各党を抑えてトップです。それなのにテレビ討論番組にも呼ばれないし、新聞も扱いが小さい。既存政党に有利なことこの上なく、新規参入の障壁になっている。これじゃあ政治は変わりません」とまくし立てた。
24日発行の本紙社会面をチェックして「幸福実現党の記事が1行もないですね」と一喝。立候補者数と関係なく「諸派」扱いされることが納得できないという。
たとえば期日前投票のボードでは、同党候補者の政党名の欄は空欄のまま。マニフェストに掲げる「北朝鮮ミサイルUターン防衛」「消費税全廃」などに共感する有権者に不親切だとして、この日午前に総務大臣あてに改善要望を申し入れた。
中松氏はこれまで出馬した各種選挙で、泡沫候補扱いされるたびに何らかの異議を唱えてきた。今回も直接クレームをつけたことで怒りがやわらいだのか、突然、にこやかな表情で「特ダネの新発明を教えてあげる」と懐から妙なシールを取り出した。絆創膏のような両面テープだ。
「このシールは『ビシャット』といい、一度貼ったらはがれません。これを投票所の幸福実現党候補者の政党欄にびしゃっと貼りつけます。シールには何も記載していないので問題はなく、しかし目印になるんですね。この発明によって大逆転できます」(中松氏)
実行したとして、外見上は無印の両面テープが貼られているだけ。効果が期待できないばかりか、そんなゲリラ戦法は中松氏らしくないと指摘すると、「まあ、そういう用意もあると…」とトーンダウン。報道されない悔しさから“暴走”しかけたようだ。選挙戦の手ごたえについては「街頭では僕の名刺の奪い合いになる。特に若い女性に人気ですね」と思い出し笑いを浮かべ、本来の“らしさ”を取り戻した。
大手各メディアの選挙情勢調査では、民主党が300議席以上を確保する大勝利が予測されている。共産党、社民党、国民新党、みんなの党、改革クラブ、新党日本の少数政党は存在感のアピールに懸命。本紙は連載企画「党首、夏に戦う」でこれら少数政党にもスポットを当てていく。
◎勝利のダブル方程式
中松氏はパネル持参で勝利のダブル方程式を提示した。政治のクリーン度(CP)を、既成政治家数(N)とその在職年数(Y)を掛け合わせた逆数で算出。つまり、現役政治家やベテラン政治家が少ないほどクリーン度が増すことになる。これに民間経験年数と立候補者数を掛けて弾き出された数値がより大きい政党が、国民に選ばれる度合いが強いという。独自の理論上では“当確”が見えているようだった。