同じように『課長 島耕作』でビジネスを、『神の雫』でワインを語ることもできるだろう。
分かりやすい絵とストーリーで、物語だけでなく情報・知識も摂取できるのが、漫画というメディアの強みの一つだ。
◆「情報漫画」の起源は? 日本経済から靖国神社まで
故・石ノ森章太郎さんの『マンガ日本経済入門』は、その手の「情報漫画」のなかでもかなり古い部類に入るだろう。石ノ森さんは多作で知られ、子供向けの『マンガ 日本の歴史』シリーズなどでも知られる。
現在も精力的に活動を続ける漫画家の小林よしのりさんも、この分野の大家と言えるかもしれない。『靖國論』『天皇論』などでは、靖国神社や天皇制といったタブーとされがちなテーマを、これ以上ないのではと思うほど濃密なネームで解説している。読破するにはかなり大変そうだが、それでも売れているのが凄い。
◆『バガボンド』作者「ただの娯楽です」
一方。こうした風潮にあえて異を唱えるクリエイターもいる。『スラムダンク』、『リアル』、『バガボンド』で知られる、現代日本を代表する漫画家、井上雄彦さんだ。井上さんの作品は高校バスケ、車椅子バスケ、宮本武蔵などをテーマとしており、読めばこれらに関する知識がある程度、得られないわけではない。
しかし井上さんは『バガボンド』単行本上で、最近はビジネスや料理、歴史など、読むと情報が得られる漫画が多いが、本作は情報を得るための漫画ではなく、「娯楽」だと言い切っている。
この発言は、二十年近く漫画界の最前線を突っ走ってきた井上さんならでは「哲学」からくるものなかもしれない。(小山内)
【参照】非モテタイムズ
http://himo2.jp/