これはユニークな発想と最先端テクノロジーを利用して作りだした作品を一堂に展示する「Maker Faire Tokyo 2015」にて行われたもの。
指でつまめるほどの超小型ながら高性能でかつ省電力であり、Wi-Fiなどを利用した通信機能を備えるインテル(R) Edisonだけに、どんな作品が展示されたのか気になるところだ。
そこで今回は、「Artist Showcase」にて展示が行われた作品たちを紹介したい。
●カードに描いたモンスターを召喚して戦わせる「召喚らくがきモンスターズ」
最初に紹介する作品は、自分が描いたモンスターを大スクリーン上に召喚して、対戦相手が召喚したモンスターと戦わせることができる「召喚らくがきモンスターズ」(製作:COCONOE)。
遊び方は、まずカードに自分が召喚したいモンスターの姿を自由に描く。カードには、火のカード、水のカード、光のカード、闇のカード、木のカードの5種類があり、属性と描かれた内容によってモンスターの攻撃力、防御力、すばやさ、使える攻撃魔法の種類などが決定する。
「召喚らくがきモンスターズ」のすごいところは、操作を全て見開きになっている「魔法の書」で行うことができる点だ。本の左側はモンスターを描いたカードをセットするスキャナーになっており、本の右側に手をかざすと、モンスターに前進、後退、ジャンプなどの指示を出すことができる。
攻撃はマイクに向かって「パンチ」「キック」「バリア」としゃべることで行う。画面に表示される呪文を唱えると、モンスターが攻撃魔法を繰り出す。さらに、バリアを張れば、相手が繰り出した攻撃魔法を跳ね返し、相手にダメージを与えることも可能だ。
換言すれば、カードを「魔法の書」に置いた後は、右手でモンスターを動かし、マイクに向かってしゃべるだけで自分だけのモンスターを戦わせることができる。Wi-Fiが利用できるなど一定の環境さえ整っていれば、「魔法の書」と、スクリーン&ホストコンピューターだけで、いつでも、どこでも、遊ぶことができるそうだ。
開発者に話を聞くと、インテル(R) Edisonだからこそ実現できた「召喚らくがきモンスターズ」を、もっと色々な場所で展示したいと意欲を燃やしていた。
●超音波で言葉を送受信するウェアラブルデバイス「WORDS BAND」
aircordが製作したリストバンド型ウェアラブルデバイス「WORDS BAND」は、腕時計サイズのスクリーンに文字情報が表示されるというもの。超音波の通信機能を利用しているので、Wi-Fiが安定的に利用できないコンサート会場や会議室などで本領を発揮する。
例えば、アーティストが歌っている歌詞を表示したり、登壇した発表者が英語で「Hello!」とマイクに向かってしゃべったら、会議の出席者たちの腕に巻かれた「WORDS BAND」のディスプレイに「こんにちは」と日本語に翻訳した情報を表示することも可能だ。利用者は、コードレスのリストバンドを腕に巻くだけでよいので、ストレスなく機能を享受することができる。
●モノと会話が楽しめるハート型デバイス「COCORO」
「COCORO」は手のひらの上に載るサイズのハートの形をしたデバイス。マイクとスピーカーがついており、マイクに向かって話し掛けると、内容に応じた返答をしてくれる。ネット上のAPIでさまざまな処理をして反応するデバイスだが、小さなサイズにOSが乗っており、Wi-FiやBluetoothも実装しなくても入っているEdisonの特徴を生かした作品といえよう。
「Artist Showcase」の会場では、「COCORO」が、冷蔵庫、猿のぬいぐるみ、ソファーなどに備え付けられていた。試しに、冷蔵の「COCORO」に「こんにちは」と話し掛けたら、「こんにちは。歩き回って疲れていませんか? すいません、スタッフさん。“ナイス”な椅子、“ないっす”か?」などと、冷蔵庫ゆえか寒いギャグが返ってきた。
●癒しをくれるEdison内蔵の浮游クラゲ
「空中生物カヤックラゲ」(製作:面白法人カヤック)は、透明な6つの風船と、Edisonを設置した本体からなる。本体には気圧計が設置されており、高度を自分で判断することができる。風船には60リットルのヘリウムガスが入っており、浮力と本体の重さが同じになっている。
展示されていた「空中生物カヤックラゲ」は、高度3メートルに設定されており、3メートルよりも高度が下がると本体に設置されたプロペラが自動で回転し、3メートルまで上昇し、またそこで止まる。気流さえなければ、高度3メートルの場所をひたすら漂い続けるというものだ。オフィスの天井を「空中生物カヤックラゲ」が浮かび続けていたら、癒されるかも!?
●動く絵画「I'M WATCHING YOU.」
最後にご紹介するのは動く絵画「I'M WATCHING YOU.」(製作:THE GUILD)。スクリーンに近づくと、スクリーン上の絵画が動き出し、近づいた人を指差すというものだ。センサーとディスプレイ上の絵画の動きをインテル(R) Edisonが制御している。
会場で展示されていた「I'M WATCHING YOU.」では、星条旗をイメージさせるシルクハットとジャケットを身に着けた白髪の男性が近づく人達を次々と指差していた。絵画の内容や動きは自由に作ることができるそうで、浮世絵などでも可能。開発者は、動く絵画を利用して、1点モノの動く肖像画などができたら面白いのではと更なる進化に夢を膨らませていた。
「Artist Showcase」に展示されていた作品たちはどれも、“こんなこともできるのか!”という驚きに満ちていたが、実際に「召喚らくがきモンスターズ」で自分で描いたモンスターを戦わせてみると、驚き以上の興奮と感動を味わうことができた。
未来を感じさせるものから、ただただ面白いものまで。インテル(R) Edisonが今後、どんなものを実現させていくのか、目が離せなくなってきた。(竹内みちまろ)
<関連リンク>
http://edison-lab.jp/
http://makezine.jp/event/mft2015/