そのようなバイトテロが起こると、当然企業は痛手を受けることに。そんな被害企業の中でも最高レベルと言われるのが、外食大手チェーン店の大戸屋だ。
事の発端は2019年2月、マスクを被った店員と思われる男性が、店内でお笑い芸人・アキラ100%が見せる下半身全裸で局部をお盆で隠す芸を行う様子を、撮影していた女性と見られる店員がInstagramに投稿したもの。
例によって、本人たちはごく内輪に向けて投稿したものと思われるが、一気に拡散。また、食べ物を口に含み、それをダバーっと出すような動画も発見され、「気持ちが悪い」「大戸屋の店員がこんな事するなんて」と怒りの声が上がり、「もう大戸屋で食事はしたくない」などと、批判が殺到することになる。
大戸屋は即座に反応し、数日後に公式サイトで謝罪するとともに、当該店舗と従業員を特定し、事実確認を進めていると発表する。その後、全店を休業とし、従業員教育と清掃を行う日を設けることを公表。同社は客離れが深刻化しており「追い打ち」となっただけに、異例の措置を取った。
さらに、影響はこれだけなく、全店休業発表と同時に、経営責任として社長や常勤取締役5人の報酬を1か月10%減額。そして、営業利益についても1億円下方修正する。この件については、バイトテロだけが理由ではないとの見方もあるが、著しいイメージの低下や衛生面で顧客に不安を与えたことは事実で、無関係とは言い切れない。
なお、大戸屋と当該従業員の「その後」については、9月の『モーニングショー』(テレビ朝日系)で玉川徹氏が追跡しており、関与した3人は退職させ和解したことがわかっている。そして、損害賠償請求などの措置は、未成年であることや管理監督責任があることなどから取らなかったそう。そして、3人は現在他の飲食店でアルバイトしているのだという。
大戸屋の寛大な措置に救われた形の3人だが、世間の目は厳しい。仮に別の飲食店が彼らが大戸屋でバイトテロをした人物と知れば、退職させることもあるだろう。今後もそのような目、声と戦いながら、人生を送ることになる。
文 櫻井哲夫