大会2日目の8月9日、1回戦で今治西(愛媛)と対戦した桐光学園(神奈川)2年の松井裕樹投手(16)が、大会新記録となる1試合22三振を奪った。6回途中からの10連続奪三振も大会新。試合は桐光学園が7-0で勝利し、2回戦に進出した。
1試合最多奪三振の大会記録は、25年(大正14年)の第14回大会で森田勇投手(東山中)が19奪三振を記録して更新。その後、35年(昭和10年)の第19回大会で藤村富美男投手(呉港中=元阪神)、46年(昭和21年)の第28回大会の平古場昭二投手(浪華商)、00年(平成12年)の第82回大会の坂元弥太郎投手(浦和学院=現西武)、05年(平成17年)の第87回大会の辻内崇伸投手(大阪桐蔭=現巨人)が19で並んだものの、新記録は達成できなかった。今回、松井が実に87年ぶりに記録を更新した。
参考記録として58年(昭和33年)の第40回大会の板東英二投手(徳島商=元中日)の25(延長18回)、73年(昭和48年)の第55回大会の江川卓投手(作新学院=元巨人)の23(延長15回)が残っており、春のセンバツでは63年(昭和38年)の第35回大会の戸田善紀投手(PL学園=元阪急、中日)の21が最多記録。
センバツを含めても、1試合最多奪三振をマークした松井。こうなると、ぜひ狙ってほしいのが、58年の第40回大会で板東がマークした大会通算奪三振83(6試合)の記録。この際は準々決勝での魚津戦が延長18回引き分け再試合となり、投球回が増えて奪三振数が多くなった側面もあるため、「誰も更新できない」と言われ続けた伝説の記録だ。
松井は神奈川県大会では、46回1/3を投げ、68三振を奪っている。1試合9回完投したとして、奪三振率は13.20。県大会と全国大会では打者のレベルが違うが、松井が県大会のペースで三振を奪ったとすると、あと5試合で66。1回戦の22と合わせると88となり、板東の83の記録を抜くことが可能。むろん、机上の計算通りいかないのが野球であり、あと5試合するためには、桐光学園が決勝戦まで勝ち進まなければならず、そう簡単にはいかない。
板東に続くのは、06年(平成18年)の第88回大会の斎藤佑樹(早稲田実=現日本ハム)の78(延長15回引き分け再試合を含む7試合)。板東の記録が無理としても、松井にはなんとか、斎藤の2位記録は塗り替えてほしいものだ。
注目の桐光学園の2回戦は15日、強豪の常総学院(茨城)との対戦となる。
(落合一郎)