スラリとスレンダーな手足を持ち、小柄で小顔、愛玩動物のように愛くるしい目と今流行りのアヒル口。別にアダルトでなくても人気アイドルの素質が光るみひろ。若く見えるけど20代半ばを過ぎたしっかりした大人だ。このほど上京してからセクシー女優として人気になるまでの体験をまとめた小説『nude』(みひろ著 講談社)が、小沼雄一監督、渡辺奈緒子主演で映画化(秋公開)される。
気になるその中身は、女優を夢見る少女がアダルトビデオの世界に飛び込み、自分をとりまく大人たちや家族、恋人との間で揺れながら業界トップの人気女優として成長していく物語。普段のぞけない世界で活躍する女性の心情をドラマティックに描いている。気がついたら不景気の渦に居た20代の若者が、大決心の末、困難と闘いながら夢を掴む…。みひろの生き方はとてもまぶしい。
女優としてみひろはアダルト作品からの引退を既に発表したが、『ランニング・オン・エンプティ』、『サムライプリンセス 外道姫 』など一般映画の出演も経験し、高い演技力が評価されている。なかでも映画『SR サイタマノラッパー』の千夏役は東京でAV女優としてデビューするが、夢やぶれて埼玉の地元でフリーターをする女の子の役、自身に重なる部分が多い。作品中に本業だったキワドイシーンも盛り込んでいるが、それ以上に主人公のニートラッパー IKKU(駒木根隆介)に、過去の自分を見て卑下するセリフ回しや、夢を捨てきれない焦りの演技が絶妙。本格女優に一歩近づくために、AV業界でも1番を目指したみひろの潔さがスクリーンからも伝わってくる。
映画『SRサイタマノラッパー』の第2弾、群馬県の女性たちが主人公の「SR サイタマノラッパー2女子ラッパー☆傷だらけのライム」が6月26日(土)より、新宿バルト9他で公開される。パワフルな彼女たちとは対照的に一人静かに淡々と生きる女性像として、第1作を彩るみひろの千夏もぜひチェックしてほしい。<コダイユキエ>
写真:『SR サイタマノラッパー』リバイバル上映にて。