報道によると男は同日夕方、小学5年の次女が通う高砂市内の小学校に押しかけ、校長室で担任の男性教諭(62)の胸ぐらをつかんだ疑い。他の教諭が「保護者が暴れている」と110番した。同署によると、男は授業中に次女が教諭から注意を受けたことに腹を立てたとのことだ。
この事件に対し、ネットユーザーからは「モンペでしかない」という声が多く上がった。「注意した内容にもよる」「今はすぐにモンペ扱いする学校もあるから」と、男を擁護する声もあったものの、男をモンペ、いわゆる「モンスターペアレント」だと思った人は多かったようだ。
モンスターペアレントとは、学校などに対して自己中心的かつ理不尽な要求をする親のことをさす。ベネッセコーポレーションが同社の教育サイトで行ったアンケート(調査日・2011年6月15日)では、「最近モンスターペアレントと呼ばれる人が増えてきていると言われていますが、あなたはどう感じますか?」という質問に対し、「とても増えた」「まあ増えた」が9割を占めた。また、「現在あなたの知っている範囲で、モンスターペアレントだと思う特定の人はいますか?」という質問に対しても、「4人以上いる」が2.8%、「2、3人いる」が15.3%、「1人いる」が14%で、なんと全体の3割にも及んだ。2011年の時点でこの調査結果なのだから、今調査を行ったら、果たしてどうなるのだろうか。
2013年9月、兵庫県内の公立小学校に通う児童の母親が自治体を相手取り、学校側に児童の成績表の評価を上げさせ、謝罪させるよう求めるという行政訴訟を起こした。女性は、児童のテストの点数が良好であるにもかかわらず、成績表が3段階評価で真ん中の「できる」という評価だったことに不満を持った。「厳しい評価で差別的だ」と主張し、一番高い評価の「よくできる」にするよう訴えたのだ。
神戸地裁は2014年2月、「成績表の作成は法的な根拠のない行為で、行政訴訟の請求権がない」として訴えを却下。また、女の謝罪要求に対しても、「名誉毀損にも当たらず、訴えに理由がない」と指摘した。成績表は保護者に交付されるもので、第三者に公表されないため名誉毀損にはならないという指摘だ。しごく真っ当な結果である。
こうしたもめごとが起きるたびに「モンペが増加して学校側も大変だ」という声が上がる。ただ、モンペとされた親の子どもまでもが非難の対象となり、被害をこうむる可能性があることを忘れてはならない。今回の事件のように、親が逮捕される事態となってはなおさらだ。
文/大久保 舞