原田教頭は神埼小で教務主任だった08年6月〜09年10月、PTA会費から十数回にわたって計約114万円を着服。さらに、09年10月〜11年3月には、保護者を通じて児童が毎月積み立てていた「子ども貯金」から、約70回にわたり約1800万円を横領した。当時、学校の口座を1人で管理し、図書購入や研究発表費などの虚偽の理由を付けて引き出していた。11年4月に転任している。
市教委の調べに、 原田教頭は「カネは競艇や生活費に充てた。競艇でもうけて損失の穴を埋めようとしたが、うまくいかなかった。反省している」と話しているという。また、「子ども貯金」の一部約234万円については「車に乗せていたところ紛失した」と説明しているという。
これまでに横領した約1900万円のうち約1700万円を返済しており、残りの約200万円も返済見込み。現在、原田教頭は自宅謹慎中だ。
「子ども貯金」は、中学の進学資金を任意で積み立てる制度。利息は保護者の同意を得て、学校の備品購入に充て、児童は卒業時に元本と一部の利息を受け取る。神埼市内の小学校7校のうち、6校で実施されている。8日に学校が金融機関に問い合わせて不足が判明した。
実松信子市教育長は「今回の不祥事は教職員としてあるまじき行為。児童、保護者の信頼を著しく失墜させた」と陳謝した。刑事告発については「弁済の予定も立っており、実害はないと考えている。弁護士と相談して検討したい」と消極的。県教委は「神埼市教委から詳しい報告を受けた上で、厳正に対処したい」とした。
教職員の立場にありながら、人様のカネに手を付けて、ギャンブルなどにつぎ込むなど論外。泥棒をこのまま、教職員として身分保障しては、それこそ子どもたちに対して示しがつかないのではなかろうか。
そもそも、利息の大半は学校が使ってしまうという、保護者や児童にあまりメリットのない「子ども貯金」なるものが、今この時代に存在するのは疑問。実松市教育長は「保護者の意見を参考に、『子ども貯金』を廃止するかどうか検討する」と話したが、時代錯誤な制度はやめた方がいいのでは?
(蔵元英二)