再逮捕容疑は10年8月上旬の夜間、2度にわたって東京都世田谷区三軒茶屋の世田谷消防署の外壁を乗り越えて侵入。敷地内に干されていた消防服、倉庫にあったヘルメットやマスクなど計約20点(約30万円相当)を盗んだ疑い。
同署によると、同容疑者は登録していた結婚相手を紹介するサイトで知り合った2人の女性に、職業を消防士と偽っており、「消防服を着た写真を見せてほしいと言われたので盗んだ」と供述し、容疑を認めている。女性には消防服やヘルメットを着けて写真を撮影して見せたが、結婚には至らなかったという。
同容疑者は昨年9月、顧客回りなどをしていた勤務先の世田谷郵便局で、「営業成績が上がらず上司に叱責されるのが嫌で、迷惑をかけてやろうと思った」として、顧客の保険金や配当金など約280万円を着服。同局は10月下旬、同容疑者を同署に告発、懲戒解雇した。同容疑者は今年1月に業務上横領容疑で逮捕、起訴された。捜査の過程で同容疑者の知人宅を家宅捜索したところ、消防服などの被害品が見つかり、容疑が発覚した。
それにしても、なぜ同容疑者は消防士を自称したのだろうか。犯行当時は現職の郵便局員。郵便局員も立派な職業。婚活サイトなら危険が伴う消防士より、堅実なイメージの本当の職業を言った方がモテたかもしれない。なにも泥棒に入ってまで、消防士になり切ろうとする必要はなかったのではないか。
ただ、消防署といえば、24時間稼働しているはず。不届き者の侵入に誰も気付かなかったのだろうか。
(蔵元英二)