同社の売り上げの約9割を占めるのがソーシャルネットワーク事業だが、課金売上こそ26億5800万円で39.5%増となったが、主力の広告収入が61億5500万円で15.1%も減ったのが響いた。12年3月期の通期の純利益は5〜11億円と予想しており、前年比20.4%〜63.8%減を見込んでいる。
ミクシィでは昨年6月に「足あと機能」を廃止した。これは、いつどのユーザーが自分のページを訪れたかが分かる便利な機能であったため、多くのヘビーユーザーが反発。「足あと機能改悪反対」コミュニティが開設され、現在も20万人以上のユーザーが登録している。「足あと機能」に代わるものとして、数日に1回知らされる「訪問者機能」ができたものの、事実上の機能改悪でミクシィから離れていったユーザーも多いようだ。
同社では昨年12月の月間ログインユーザー数(1カ月に1回以上ログインした会員数)は1520万人で、「足あと機能」がなくなる前の同年5月の1547万人と、ほぼ変化がないと発表している。だが、実態は各ユーザーの利用頻度は減り、ツイッターやFacebookに移行した会員も多いとみられている。
現状打破のため、1月25日、同社ではDeNAとソーシャルコマース(ソーシャルメディアと電子商取引を組み合わせて販売を促進するマーケティング手法)分野において業務提携を発表。3月下旬にはミクシィ内にモール型のソーシャルコマースサービスがスタートする予定だ。
純利益の大幅減で新たな収入口を探すために、試行錯誤するのは企業として致し方ないところ。しかし、元からいるヘビーユーザーの声に耳を傾けることも大事なことのような気もするが…。
(蔵元英二)