朝青龍が途中欠場が許されない初場所に相撲人生を懸ける。
3場所連続休場中の朝青龍は、昨年の名古屋、秋場所を続けて途中休場し「3度目(の途中休場)はない」と自ら次に出場する場所に進退を懸けることを宣言していた。力強くそう言いながら九州場所も全休。復活に向けて準備を尽くしてきたが、7日のけいこ総見では調整不足を露呈した。
進退が懸かるだけに休場濃厚とみられていたものの、朝青龍は不退転の決断を示す。タイムリミットだった9日朝の取組編成会議に休場届を出さず、絶不調のまま強行出場することを選択した。
苦戦は必至。稀勢の里といえば、2007年3月の春場所ではたき込んで勝った後にヒザ蹴りを見舞った因縁の相手。昨年は2勝2敗の五分で苦手意識も強く、7日のけいこ総見で激突した際もアレヨアレヨと寄り切られて「チクショー」と悔しさを爆発させた。初日から不穏な取り組みとなったわけだ。
朝青龍の強行出場。初場所協賛社の関係者からは「ハナから辞めるつもりなのではないか」「自殺行為に出たわけだから、腹はくくっているんでしょう」などと懐疑的な見方も出ているが、一方で、けいこ総見後は出場に疑問を呈していた武蔵川理事長は「内容を見て見守ってあげたい」と事態の収拾に努めた。
そんな中、当の朝青龍はこの日、高砂部屋の朝げいこに姿を現さず、師匠の高砂親方も「何も知りません。何も言えません」と繰り返すばかりだった。朝青龍陣営には相撲人生の懸かる初場所に向け、嵐の前の静けさが漂っている。