そのオウムの影響で、発売禁止が噂されていたヒーロー番組がある。それは『光戦隊マスクマン』(1987年・東映)だ。
この『マスクマン』、OP冒頭や劇中において谷隼人さん演じる光戦隊の総指揮である姿長官が手に印を組み、オーラパワーによって空中浮遊してしまうのである。
放映当時は何の問題もなかったのだが、オウム事件の後、一連の描写はファンや関係者の間で物議をかもしだした。
「これはまずいんじゃないか…」
ネックになったのが、「空中浮遊描写」である。オカルト系雑誌『ムー』で紹介された教祖麻原の空中浮遊は、その他の様々なメディアでも取り上げられた。オウムのインチキ超能力の代表格とも言える程有名なものがこの空中浮遊なのである。
先の『マスクマン』の姿長官の空中浮遊は、明らかに麻原並びに「オウム真理教」を彷彿とさせてしまう恐れがある。
実際、当時のキャストやスタッフの中には、ソフトパッケージの発売は間違いなく無理だろうと思っていた方もいたようである。
しかし、実際には『マスクマン』の劇場版は問題なくソフト化され、2003年にDVDが発売。(ただし、こちらはTVシリーズにある姿長官の空中浮遊描写がない)
TVシリーズも2004年にCSの東映チャンネルにおいて再放送がなされている。
「封印作品になってしまったのではないか?」の噂が流れた背景は単にメディアへの露出が極端に少ない事によるのだろう。そしてTVシリーズがソフト化されてこなかった背景は単に、発売スケジュールの問題であった。(『マスクマン』に限らず翌年の『ライブマン』や続く『ターボレンジャー』等のシリーズが未だソフト化されていない)
そして遂に長らくパッケージ化されていなかったTVシリーズ本編がいよいよ、2011年2月よりDVD化される事が発表された!
放映当時、何の問題もなくとも別口からクレームに火がついて封印される映像作品も少なくないご時世。名作が封印されることなく、パッケージになり後世まで伝えられるようになるのは本当に喜ばしい事である。
●東映ビデオ・DVD『光戦隊マスクマン』
http://www.toei-video.co.jp/data/hs/vcatalog_dvd/item/201102/dstd08556.html
(小野寺浩 山口敏太郎事務所)
【参照】山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou