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日本シリーズ 中島に“2度目”の死球で乱闘寸前の騒ぎに

 プロ野球日本シリーズ第4戦が5日、西武ドームで行われ、巨人が西武に0-5と完敗。対戦成績を2勝2敗の五分に戻された。そればかりか、巨人のセス・グライシンガー投手と西武の中島裕之内野手が死球をめぐり舌戦バトルを展開した。あわや乱闘寸前にまで発展。頂上決戦にキナ臭いムードが垂れ込め始めている。

 交流戦で2連敗した悪夢を払しょくするどころか、泥沼にはまってしまった。3連勝で一気に日本一に王手を狙った巨人だが、セ・リーグ最多勝右腕のグライシンガーに西武はやはり天敵だった。
 初回、シリーズ初めて先制点を許すと、4回、6回と4番・中村剛也に2打席連続2点本塁打を被弾。5失点でKOされた。打撃陣も岸孝之を打ち崩せず敗れ去った。
 試合後、背信投球をしたグライシンガーは「(中島は)当たって出塁することを選んだのに、なぜにらまれるのかわからない」とぶ然とした表情で球場を後にした。
 グライシンガーが指摘するのは4回、先頭打者の中島のヒジに死球を与えた場面だ。中島からにらまれると、怒声を浴びせた。これに中島も反応し、ふたりは一触即発の距離まで近ずく。
 直後、両軍の選手が集まり、乱闘寸前という状態になったが、西武の大久保博元打撃コーチらがなだめたことで最悪の事態は回避できた。
 それでも、中島は「何か言ってたんで『ハァ?』という感じで見てたら、向こうが近寄ってきた。カーッとなった」。チームメートの栗山巧外野手から「一緒に打撃でやりかえしましょう」と促されて、闘志に火がつき次の打席で内野安打を放つ。しかし、両軍の間に“しこり”が残ったことは事実。
 中島への死球は初めてではない。第1戦でエース上原浩治投手からも当てられている。
 大久保コーチは「当てられりゃ、誰でもそうなるって」と起こるべくして起こったと言わんばかり。そればかりか「向こうはこれで(内角攻めが)やりづらくなったでしょ」と遠まわしに“けん制球”を投げ込んだ。
 ピリピリした緊張感が漂い始めた日本シリーズ。危険な火種を抱えて後半戦に突入することになる。

○若獅子の活躍で快勝
 第4戦は若獅子が文字通り、獅子奮迅の活躍を見せ快勝した。
 この日、負ければ日本一に王手をかけられ後がなくなる西武。この大事なマウンドを託されたのはプロ2年目の岸孝之だった。
 日本シリーズ初登板の岸は、伸びのある直球とカーブ、チェンジアップなど緩急を織り交ぜ、巨人の強力打線をわずか4安打、10奪三振で完封。2005年渡辺俊介(ロッテ)以来12人目となる初登板初完封、さらに1981年西本聖(巨人)以来2人目となる毎回奪三振の記録を達成した。
 打撃陣も“おかわり君”中村が2日連続となる本塁打を放ち、4打点と大暴れ。シリーズで不振にあえいでいたパ・リーグ本塁打王がついに目覚めた。
 完勝した渡辺久信監督は「2戦、3戦目と悪い流れだったんで、これで断ち切ってくれたと思います。(中村は)チームに勇気を与える2本だったし、(勢いに)これで乗っていける」とニンマリ。獅子が反撃の咆哮(ほうこう)をあげた。

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