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日本人はアメリカ人の怪獣観を誤解している!?

 世界中で愛されている日本映画界最大のキャラクターである『ゴジラ』。

 『インデペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒ監督による「GODZILLA/ゴジラ」(1998年)に続き、2度目のハリウッド版の製作が決定していましたが、監督には新鋭ギャレス・エドワーズ監督が大抜擢されたことが先日発表されました。

 日本産のゴジラ映画は、2004年に公開された『ゴジラ FINAL WARS』を最後に製作されていませんし、ハリウッドでのゴジラ復活を喜ぶ声も多いかと思いきや、「ゴジラ復活かと思ったらハリウッドかよ」「またトカゲの化け物が暴れまわるような映画になっちゃうんじゃないの?」「早く日本産のゴジラが見たい」といったような冷めた意見もとても多いようです。
 確かに前作のハリウッド版ゴジラは多くのファンから不評でありましたし、その後もハリウッドで実写映画化された『ドラゴンボール』の圧倒的不評などもあって、かつてはハリウッドでリメイクなんて話は非常に素晴らしいこととして受け止める人も多くいたのですが、今では「どうせならハリウッドじゃなくて日本で作ってほしい」なんて声の方がむしろ多いような状況になってしまいました(実写版『ヤッターマン』や『ゲゲゲの鬼太郎』などを見ると、確かに実写版ドラゴンボールも日本で作った方が面白いものになったんじゃないかとは私も思ってしまいますが)。

 しかしながら、前作が駄目だったからといって、ハリウッド版ゴジラ2も駄目に違いないと決めつけてしまうのは勿体ないようにも思います。
 おそらく前回のハリウッド版ゴジラによって、多くの日本人はアメリカ人の持つ怪獣観というものを誤解してしまったのではないでしょうか。
 そもそも前回の監督であるローランド・エメリッヒはアメリカ人ではなくドイツ人ですし、前回のゴジラを見て「これはゴジラじゃない!」と言っていたのは日本人だけではないのです。アメリカでも、オリジナルのゴジラとのあまりの違いに否定的な声は非常に多かったそうです。
 考えてみれば当然のことですが、アメリカでも日本で作られた我々もよく知る姿のゴジラが大人気だったからこそ、ハリウッドでリメイクもされることになったのです。アメリカ人の考えるゴジラ=トカゲの化け物なんてことはまったくないのです。
 また、そんなエメリッヒの作ったゴジラにしても誤解されている部分はあって、たとえばハリウッドのゴジラは日本と違ってフルCGだと思われている方も多いですが、もちろんCGも多く使われていますが、ハリウッド版ゴジラも着ぐるみを使って撮影しているシーンはいくつもありました。

 最後に。私はハリウッド版ゴジラも結構楽しめた人間ですが、それでもどうしても嫌だった部分はあります。 
 それは、ゴジラが人類(アメリカ軍)の手によってあっさりと倒されて死んでしまうというラストでした。 ゴジラは人間にとって圧倒的な存在であってほしいと願っていたファンは、人類にあっさりと撃退されてしまうゴジラの最期にショックを受けました。このことで、アメリカは自国の通常兵器が通じないような怪物を表現することはできないのだろう。−−と考えるようになった人もいるようですが、そんなことはありません。
 アメリカでも日本の怪獣のように、通常兵器ではどうしようもない圧倒的な怪物が暴れ回る作品は作られています。有名なところでは、2008年に公開された『クローバーフィールド』に登場した怪獣などがそうですね。

 来年公開予定のハリウッド版ゴジラ2がどのような作品になるのかはまだ判りませんが、ハリウッドというだけでガッカリしちゃうなんてもったいないとは思いませんか? ゴジラファン、怪獣映画ファンの皆様はぜひ、久々に見られる新しいゴジラ映画の公開をどきどきしながら待ちましょう! そしてハリウッド版ゴジラを盛り上げて、その勢いで日本のゴジラも復活してくれたら言うことなしではありませんか。

(「作家・歩く雑誌・一番好きなゴジラ映画はゴジラvsビオランテ」中沢健 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou

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