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文学賞の「組織票」騒動(1)

 『文学賞メッタ斬り』シリーズ(パルコ刊/大森望さんとの共著)などで有名なカリスマ書評家の豊崎由美さんが、2010年に最も面白かった小説をSNS「Twitter」のユーザーに投票してもらう「Twitter文学賞」なる企画を行っている。

 国内部門と海外部門に分かれており、締切は1月31日。発表は2月5日で、石井千湖さん、大森望さん、佐々木敦さん、杉江松さん、豊崎由美さんによる座談会が、動画サイト「USTREAM」にて配信される予定とのこと。

 この賞の存在を知った小説家の嶽本野ばら(たけもと・のばら)さんが「投票しよう! 賞、欲しい」とTwitterでつぶやき、さらに「とりあえず1月26日23時〜24時予定で、ツイッター文学賞総選挙会議&嶽本野ばら聖誕祭をここでやります\(^o^)/」などと発言したところ、それを読んだ彼のファンがこぞって投票を始めた。

 しかし嶽本さんの最新作『金脈』(小学館)は今年2月23日発売予定で、昨年発売された本を対象とする「Twitter文学賞」の規定外。全て無効票となってしまうのである。嶽本さん自身もそれには気付いていたが「雑誌発表は昨年だった」として開き直ってしまった。これには豊崎さんはもちろんのこと、多くのTwitterユーザーが怒りの反応を示した。

 サブカルチャー/美術評論家の樋口ヒロユキさんに至っては、かねてより嶽本さんを評価していたはずなのに「訃報:作家、嶽本野ばらは本日、私の中で死にました。」と憤りをぶちまけた。それは嶽本さんの「もう何でもありなのだ。そう出来るだけのキャリアを勝ち取ったのが10年の成果」とのツイートに、不遜なまでの思い上がりを感じたからである。

 一方、樋口さん同様に嶽本さんへの親和性を持ってきたと思しき文芸評論家の千野帽子さんは、多少なりとも擁護しているところがある。「彼の著書に救われたと思っている彼女たちが言いたかったのは、彼の新作がどれだけおもしろいかというより、彼をどれだけ愛してるか」であり、「そういう情緒的な癒着に読者を巻きこめる作家は、そうそういない」のだと。

※文学賞の「組織票」騒動(2)につづく(工藤伸一)

Togetter「Twitter文学賞で組織票」
http://togetter.com/li/93251

豊崎由美ブログ「書評王の島」
http://d.hatena.ne.jp/bookreviewking/20110105/1294157404

嶽本野ばら公式サイト
http://www.novala.quilala.jp/

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