そんなギリギリのラインを超えトラブルに発展したケースが、2013年の事件だ。沖縄県のハンバーガーショップに通っていた男性は、女子店員に好意を持ったのか、猛烈にアタック。その結果、複数回一緒に食事に出掛けるなどした。
しかも、その数は1人ではなく、複数人。詳細は不明だが、かなり積極的に連絡先などを要求し、食事に出掛けるなどしていたようだ。客が店員に一目惚れし、連絡先を交換したうえ交際を始めるというケースは稀に見られるが、複数人に声を掛け、食事に出掛けるなどしていたとは驚きだ。
積極的な男性はハンバーガーショップの店員内でも有名だったようで、女子店員の中で話題になる。そして、内部で男性のことを「ストーカー」とあだ名を付け、情報を共有していた。複数人に同じような行為をしていたことなどが要因であると見られる。
男性はひょんなことから、店員の間で自らが「ストーカー」と呼ばれていることを知り、憤慨。店長に抗議すると、謝罪を受けた。しかし、男性はこれだけでは腹の虫が治まらなかったのか、店側に500万円の損害賠償を求めて提訴した。
少々無理筋な気もする訴えだが、東京地裁は「店長が従業員がストーカーと呼んでいることを知りながら適切な指導をしなかった」として、店側に10万円の損害賠償金を支払うよう命じた。
このなんとも不可解な事案。店の店員が客にネガティブなあだ名を付けることについては、「よくある」「おかしな行動をする人間に蔑称を付けたことがある」などの指摘があり、「男性の行動はやりすぎだ」という声が挙がる。
また、男性の求めに応じ、複数の女性店員が食事に出掛けていた事実についても、「信じられない」「期待するものがあったのでは」など、訝しむ声が出た。
なぜ、複数の女性が男性と食事に出掛けていたのは不明だが、男性の要求に応じた時点で店員としては適切な行動とは言えないだろう。また、「ストーカー」と呼んでいることを外部に漏らしてしまったことも、店側の対応としてはまずいものだった。
文 櫻井哲夫