そんなエアコンプレッサーが、人の悪ふざけによって他人の命を奪ってしまう事件が複数発生している。2017年12月、埼玉県杉戸町の産業廃棄物処理場で、この処理場に勤務する47歳と36歳の男が、同僚社員(44)の肛門から体内に空気を入れる「悪ふざけ」をした。
被害を受けた男性は、空気を入れられたことにより内蔵を圧迫され、死亡。2人は傷害致死の疑いで逮捕された。エアコンプレッサーを普段から使用し、その怖さを十分に認識しているはずの社員が、悪ふざけで他人の肛門に当て、空気を入れるという行為に、衝撃と怒りの声が上がる。
この事件で「エアコンプレッサーを人間に向けてはいけない」という認識が広がったが、2018年7月にまたしても同じことが起きてしまう。茨城県龍ケ崎市内の建設機械製造会社の工場で、34歳の社員がネジ締めなどに使うエアコンプレッサーを同僚社員(46)の肛門に当て、空気を注入した。
同僚社員は体調不良を訴え、救急搬送。肺を損傷しており、死亡してしまった。この犯人も「悪ふざけをしていた。死ぬとは思わなかった」等と話しており、エアコンプレッサーの怖さを認識していなかった様子。このケースでは、ズボンの上から吸気を注入し、かなりの風圧で、被害者の肺を損傷してしまった。
安易に考えていた容疑者たち。しかし、使用経験者からは「人に当ててはいけないのは常識」「人に空気を送れば身体が損傷するのはアホでもわかるはず」との指摘が。そして、事件を起こした工場についても「管理が甘すぎる」「従業員教育はどうなっているのか」と怒りの声が上がった。
エアコンプレッサーで人に空気を送ることは、殺人行為である。悲しい事件を繰り返さないためにも、同じことを絶対にしてはならない。そもそも、職場で社員同士が悪ふざけをしていること自体が異常と言わざるを得ない。
文 櫻井哲夫