2016年初場所以降、11場所連続で幕内に在位し続けていた貴ノ岩。しかし、昨年10月の秋巡業中に起こった元横綱日馬富士の暴行騒動の影響により、2017年11月場所と今年の1月場所は無念の全休。3月場所の番付発表時点では、西十両12枚目までその地位は降下していた。
世間に波紋を広げた騒動で肉体的・精神的ダメージを負ったことにより、今後の土俵人生を危惧する声も少なくなかった貴ノ岩。ただ、モンゴル出身の28歳は3月場所(8勝7敗)、5月場所(11勝4敗)と2場所連続で白星を先行。困難に屈することなく、幕内復帰へ着実に歩みを進めていた。
そして、西十両3枚目で迎えた先の7月場所において、貴ノ岩は13勝2敗と3場所連続で勝ち越しを決める。さらに、同じく13勝2敗の成績を残していた隆の勝との優勝決定戦を制し、2013年初場所以来2度目となる十両優勝も手中に収めた。このような好成績を残したことを考えると、今回の再入幕もある意味必然であったといえるだろう。
昨年の9月場所から1年、紆余曲折の末再び幕内に戻ってきた貴ノ岩。今回の番付発表を受け、ネット上には「幕内復帰おめでとう!」、「色々あったけどよくぞ戻って来た」、「さらに上を目指して頑張ってほしい」といった喜びの声が数多く寄せられている。
また、中には「親方が元気になるような相撲を取ってほしい」といった旨のコメントもいくつか見受けられている。貴ノ岩が充実した相撲を取ることができれば、夏巡業中に救急搬送されるアクシデントに見舞われた貴乃花親方にとっては何よりの薬となるだろう。
来月9日に初日を迎える9月場所。横綱稀勢の里の行く末や関脇御嶽海の大関取りに注目が集まっているが、不屈の闘志でカムバックを果たした貴ノ岩の15日間からも目が離せないところだ。
文 / 柴田雅人