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“加害者”貴公俊に通じなかった“被害者”貴乃花親方の指導

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 その指導が弟子に届くことはなかったようだ。

 今月18日、貴乃花部屋に所属する新十両・貴公俊が付け人に暴力行為を働いていたことが発覚。またしても起きてしまった不祥事に、角界は大きく揺らいでいる。

 問題が起きたのは、現在行われている大相撲春場所の8日目。今場所を新十両として迎え、ここまで3勝4敗の成績を残していた貴公俊だが、この日は付け人のミスにより土俵下の控えに入るのが遅れてしまう。この際に境川審判部長代理から注意を受け、さらにその後の取り組みにも敗れてしまったことにより、貴公俊は付け人に激怒。その結果、支度部屋で付け人に拳を飛ばしてしまったという。

 この暴力行為によって、貴公俊は9日目から休場し、せっかく掴んだ新十両の座をわずか1場所で手放すのは決定的な状況。双子の弟である十両・貴源治と共に将来を嘱望されていた20歳にとっては、悔やんでも悔やみきれない愚行となってしまった。

 一方で、貴公俊の師匠である貴乃花親方にとっても、この不祥事は痛恨の極み。自らの部屋から“加害者”を出してしまったことで、それまでの立場が形無しとなってしまったからだ。

 昨年起きた元横綱日馬富士による貴ノ岩への暴行問題以降、弟子に暴力を振るわれた“被害者”としての立場をとってきた貴乃花親方。これまで様々な媒体、また、自らの部屋のホームページを通じて暴力の根絶・相撲協会の改革について言及してきた。しかし、今回の問題により、自身も協会と“同じ穴のムジナ”であることが浮き彫りになってしまった以上、今後、貴乃花親方の言葉に説得力が生まれることはないだろう。

 前述のホームページには「いま相撲界では、過去の反省を顧みない度重なる暴力事件や不祥事により、国民の皆様の期待を大きく裏切り、社会的な信用を損なった結果、組織としての公益性や透明性が大きく問われております」という貴乃花親方のメッセージが2月1日付で綴られている。しかし、そう語る本人も当事者となってしまった今では、その言葉は虚しく聞こえるばかりだ。

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