ノアは今年1月29日、長州力プロデュース興行などを手掛けるリデットエンターテイメントによる新体制を発表。今回の横浜大会は新体制のもとで開く初のビッグマッチとあって注目が高まっている。
新生ノアの22歳の若きエース清宮は、ノアの創設者である故・三沢光晴さんに憧れて2015年にノアに入団。同年12月、三沢さんの最後の試合でパートナーを務めた潮崎豪と対戦しデビュー。180cm、100kgの恵まれた体格から、新日本プロレスから2年間殴り込みに来ていた鈴木みのるの鈴木軍にもまれた。2017年のカナダ遠征から帰国すると、ビジュアルもあか抜け、GHCタイトル戦線に抜擢される。
昨年12月16日の横浜大会で杉浦貴を破り、史上最年少、デビューから史上最短でGHCシングル王座を奪取し、晴れて第32代王者に輝く。緑のショートタイツにサポーターをまとう清宮はタイガー・スープレックス・ホールドが必殺技。三沢さんと重ねて見るファンも多いが、本人は『脱・三沢』を掲げ「新しいノアを背負っていく」と覚悟を示しており、新体制の顔として期待は大きい。
そんな清宮の壁になるべく「待った」をかけたのが、今やノアの象徴と言ってもいい丸藤正道だ。丸藤はかつて三沢さんの付き人を務めており、丸藤がGHC王座を獲得した際には、三沢さんが挑戦したことがあった。清宮が入団するとき丸藤は試験官を務めていた。似たようなシチュエーションに「時代は繰り返す」と苦笑いを浮かべた丸藤だが、「あの時は負けたけど今度は勝ちます」と、あの時の三沢さんのように、清宮の勢いを止めると誓った。
清宮は王座獲得後、ノア以外のマットで、長州力や藤波辰爾、越中詩郎といったレジェンドとも対戦。「まだまだ吸収すべきことがあった」と言いながら、GHCシングル王座のベルトを巻いて、“新しい”ノアの顔としてお披露目してきただけに、ここで負けるわけにはいかない。「腕が折れようが、足が折れようが、横浜文体の最後に俺がマットに立ちたいと思います」と話す清宮は目をギラつかせていた。前哨戦では丸藤の余裕を崩せていないが、タイトルマッチでは清宮が見せる“方舟”の未来に期待したい。
文・写真 / どら増田、舩橋諄