大砂嵐は『RIZIN.13』9.30さいたまスーパーアリーナ大会で“野獣”ボブ・サップを相手にプロ格闘家デビュー。MMAルールとしては珍しく肉弾戦を披露し、判定で敗れはしたものの健闘。ジョシュ・バーネット指導のもと「大晦日にまたサップとやってリベンジしたい」と、継続参戦に意欲を示していた。
関係者の話によると前回大会後に無免許であるにもかかわらず運転した疑いが発覚。大砂嵐の代理人を通じて本人に聞き取り調査したところ「おおむね認めた」ため、同日付けで契約を解除したと公表した。
RIZINは「本件につきましては捜査中と聞き及んでいるため、経緯の詳細につきましては説明を控えさせていただきます」と契約を解除したこと以上の発表は控えている。いずれにせよ、大相撲を廃業する原因となった無免許運転を再び起こし、格闘家としての活動を自らストップさせることになってしまった。お粗末で、言葉も見つからない。
「これまで大相撲から格闘家に転向した中ではトップクラス」とジョシュが評価するほどの逸材がこんな形で離脱するとは誰も思わなかったはず。地上波の視聴率アップを狙っているRIZINにとって、知名度も高い元力士の離脱は大打撃だ。
RIZINの前身であるPRIDEは、フジテレビが人気コンテンツだったにもかかわらず、コンプライアンスの問題からバッサリと打ち切られた。その後、PRIDEはアメリカのUFCに買収され消滅。格闘技ブームも下降線をたどっていったという苦い過去がある。現在のRIZINにとってもフジテレビの地上波中継は生命線。二度と同じ過ちを繰り返さないためにも今回のすみやかな対応は正しい判断だったと言えるだろう。
大砂嵐は今回の件で起訴されるようなことがあれば日本格闘技界から永久追放されるのは確実。格闘技ブームが再び来ようとしている中、水を差した罪は重い。暗雲が立ちこめる形となったが、大晦日のRIZINさいたまスーパーアリーナ大会は、総力を挙げて成功させてほしい。
取材・文・写真 / どら増田、船橋諄