葛飾区内の一角にとある民家がある。築20、30年は経っているだろうか。およそボクシングジムとは想像しがたいたたずまいが亀田ジムだ。扉の前には「世界王者養成場」「亀田ジム」と看板が掲げられている。
内部に入ると、どこのボクシングジムにでもあるように、リング、サンドバッグ、パンチングボールなどの一般的な用具のほかに、亀田流トレーニングのためのアイテムも置いてある。
ハンマーを振り上げてたたきつけるための廃タイヤや「毎日持ち上げろ」と書かれた張り紙のある重しなど、ほかにもさまざまなアイデアのトレーニングアイテムが存在。さらに日焼けマシンや減量をするためのサウナまで完備されており、まさに「すべてをボクシングに捧げるための部屋」となっている。
さらにジムの内部には亀田家の練習を見守っている“仲間”も存在する。まず、門扉を開けると不審者が入ってこないように番犬の役割を果たしているのがドーベルマンのロデム(1歳半、雄)だ。
史郎氏によれば、ドーベルマン専門のブリーダーショップで1年半ほど前に購入したという。
「あの犬はすごく頭がいい。言われたことを一回で覚える。しかも10キロぐらい走っても全然息切れしていない。いっつもトレーニングパートナーとして走ってるよ。一番かわいい」とでき愛している。
ちなみに本紙記者が最初に亀田ジムを訪れた時は、オリの中からエラくほえられたのを覚えている。しかし、2回目からはたとえオリが開いていたとしても、襲ってくるようなことは全くなかった。
ジムに入ると大きな水そうが2つあり、オレンジ色と金色の古代魚(アロワナ)が泳いでいる。これは史郎氏の「完全な趣味」で「(オレンジと金で)ゲンがいい」ため、この2匹を飼っている。エサは史郎氏自ら与えており、1カ月に2万円ほどかかるのだとか。
そして、亀田ジムの一番奥に“住んで”いるのがカメだ。13年ものゾウガメのガンちゃんとホシガメがいる。ガンちゃんはジム内部で放し飼いにされており「亀田家の守り神」(史郎氏)という。しかも驚くなかれ。なんと“ベジタリアン”でもあるのだ。史郎氏が買い物の帰りに八百屋で野菜のくずを段ボールいっぱいに分けてもらうのだが、ペロリとたいらげてしまう。
史郎氏は昔から動物が大好きで、ペットショップに行くと衝動買いしてしまうため、自ら「ペットショップに出向くことを禁止」している。それでも「広い場所があったら馬に乗って遊びたい」という衝動にかられるらしく、そのほかにもワニやウサギなども飼いたいそうだ。
将来の夢は「後々、ボクシング教えるのが終わったら小さい田舎でホノボノと動物たちと暮らしたい」という史郎氏。
亀田家の仲間たちが今日も練習を支えている。