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松坂『復活』のカギを握る2人の男

 「今季はかなりの確率で復調すると言っていい」−−。松坂大輔(33)がニューヨークメッツの先発5番目を目指し、奮闘している。3月24日(現地時間)、カージナルスとのオープン戦に先発し、6回3分の0を投げ、被3、失点1と好投。試合後、松坂は「調子は良くなかった」としつつも、
 「今できることはすべて出し切った。それでこういう結果が出るので面白い」
 と復活への手応えも語っていた(共同通信参考)。
 メジャーリーグ中継の解説も務めるプロ野球OBの1人がこう言う。
 「昨季終盤、メッツに拾われ、4試合目の登板が『転機』でした。松坂は『カーブ主体』の技巧派ピッチングに代わりました。変化球でゴロアウトを量産するスタイルを新たな自分のスタイルにしつつある」

 メッツ移籍後の成績を再確認してみた。移籍後に3連敗を喫したものの、4試合目からは「110キロ台のカーブ」を多投。スライダー、チェンジアップを織り交ぜ、最終成績は3勝3敗、防御率4.42。だが、カーブ主体の技巧派となった4試合目以降だけなら、防御率は1.37である。
 「メッツはエースのマット・ハービーがトミー・ジョン手術を受けるため、今季は『全休』となります。松坂は先発5番手の候補として、キャンプ、オープン戦でその座を争っています」(米国人ライター)
 メッツの課題は、先発投手陣の整備である。オフにアスレチックスで18勝を挙げたベテラン右腕のバートロ・コローンと『2年2000万ドル』(約10億円/出来高込)で契約。このコローンがローテーションの主軸となり、ディロン・ジー、ザック・ウィラー、ジョン・エースの4人までが『先発5人のローテーション枠当確』とされており、松坂、ヘンリー・メヒア、カルロス・トーレスの3人が『最後の5番手』を争っている(同時点)。
 「メヒア、トーレスは結果を出していません。補強したコローンも、今季41歳を迎えるため、シーズンを通して先発ローテーションを守るのは困難です。『松坂を選ぶべき』との声が圧倒的です」(前出・同)

 また、先発枠入りしていたジョン・エースが右肘の違和感を訴え、降板するハプニングも起きている。しかし、テリー・コリンズ監督は先のカージナルスとのオープン戦後も「もう少し考えたい。あと2、3日…」と、松坂の処遇に関しては言葉を濁している。
 この「2、3日」発言が“致命傷”になりかねない。
 「松坂はマイナー契約でメッツのキャンプに合流しました。ルール上、マイナー契約でキャンプインした選手をメジャー登録する場合、25日正午までに届け出なければなりません。『3日』も考えていたら、松坂はマイナーで開幕を迎えることになる」(前出・プロ野球OB)

 松坂は昨季終盤、オープン戦と『結果』を出してきた。それでも、テリー・コリンズ監督が“慎重”なのは、『政治的な事情』もあるらしい…。
 「中継ぎを予定していたジョン・ラナンを先発に戻す案も出ています。右肘の違和感を訴えたジョン・エースが軽傷なら、ジョン・ラナンをコンバートした時点で『先発5人枠』は埋まります。コリンズ監督はジョン・エースの状態をギリギリまで見極め、その後で松坂の処遇を決めようとしているのでは?」(前出・米国人ライター)
 テリー・コリンズ監督(64)が、かつて日本のオリックスで指揮を執っていたのは周知の通り。「情熱を失った」なる言葉を残し、シーズン途中に帰国した経緯からして、日本球界と日本人選手に好印象を抱いていないのではないだろうか。

 投手コーチのダン・ワーゼンも“クセモノ”
 だ。同コーチが強い推薦で松坂の残留が決定したとの情報もある。日本人投手との関わりも長く、野茂英雄氏、斎藤隆、高橋尚成が同コーチのもとで投げてきた。
 「松坂の通訳を務める日系米国人に対し、差別的な発言をしたとされ、アンダーソンGMが米メディアに釈明コメントを発表しています。ワーゼン投手コーチの手腕を称賛する声もたくさんありますが、米国出身以外の選手を『下』に見る感は否めません」(前出・特派記者)

 救援陣にも『不安』はある。クローザーを予定しているボビー・パーネルは昨年9月に頸椎ヘルニアの手術を受けたため、「完全復活までまだ時間が掛かる」と目されている。
 「セットアッパーも人材豊富ではありません。昨季は勝ち試合を逆転で落とすパターンも目立ち、コリンズ監督は『救援投手を1人でも多く…』と考えているのでは。コローン、ジー、ウィラーの3人が投げる試合は逆転負けを喫しない。そのためには、先発5番手が投げる日は『捨て試合』にして救援陣を休ませたいくらいに思っているようです」(米国人ライター)

 オープン戦での好投を見る限り、松坂は2011年以来の先発枠復帰が期待できる。スタミナは全く衰えていないので、完投試合も望める。松坂の復活は、救援陣に無駄な登板をさせたくないとするコリンズ監督の構想とも合致すると思うが…。

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