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もはやなりふり構っていられなくなった メッツ移籍の松坂大輔

 インディアンスに自ら退団を申し入れ、8月20日(日本時間21日)に自由契約となった松坂大輔投手(32)が、2日後の22日(同23日)にメッツと電光石火で契約した。

 すでに、根回しはされていたもようで、インディアンス時代のマイナー契約と違って、メジャー契約を勝ち取った。契約は今季終了まで。

 松坂がこだわったのは、「メジャーで投げられる点」で、メッツは先発投手陣に故障者が多く、メジャー40人枠に空きがあったことから、話はトントン拍子で決まったようだ。

 25日(同26日)現在、メッツはナ・リーグ中地区4位で、首位ブレーブスには19ゲーム差をつけられており、プレーオフ進出争いは絶望的。そのため、右ヒジの故障から復帰後、結果が出ていない松坂を“試す”余裕がある点も、入団合意に拍車をかけたようだ。テリー・コリンズ監督は07、08年にオリックスで指揮を執っており、日本野球に精通していることも、松坂にはプラスに左右しそうだ。

 メッツ先発陣の苦しい事情もあって、松坂は19日(同20日)の3Aコロンバスでの登板から、中3日で、23日(同24日)のタイガース戦(シティフィールド)にいきなり先発。

 1回にソロ本塁打、2回にタイムリー二塁打と3ラン本塁打を浴び5失点を喫した。それでも、3回からは変化球を効果的に使い、5回まで3イニング連続で3者凡退に抑えた。5回を投げた松坂は6安打1四球4三振で、5失点。昨年10月3日(同4日)以来、約11カ月ぶりのメジャーでのマウンドで敗戦投手となった。

 「やっぱり自分はここ(メジャー)にいたいんだな、と強く思いました。今のボクに先を見る余裕はない。大事なのはこれから」と先を見据えた松坂。

 コリンズ監督は「よく投げたと思う。特に最後の2イニングは、とても素晴らしかった。どんな選手でもメジャーに戻った時は、緊張もするし、興奮するもの。次の先発は問題ないだろう」と一定の評価。

 次回登板は28日(同29日)のフィリーズ戦に決まった。コリンズ監督は「7回ぐらいまで投げてくれればいい」と話した。

 サンディ・アルダーソンGMは、シーズン終了まで、松坂を先発で起用する方針を示している。今後、限られたチャンスで、結果を出さなければ、来季、いい契約を引き出すことはできない。

 06年オフにレッドソックスと6年総額5200万ドル(当時約61億円)の契約を結び、昨季は1000万ドル(当時約8億円)の高額報酬を得ていた松坂だが、市場価値は暴落している。もはや、なりふり構っている場合ではなくなった。
(落合一郎)

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