3月18日(日本時間19日)に、開幕メジャー枠に入れないことが決まったが、球団、本人とも残留を希望し、マイナーでプレーすることで合意していた。
ところが、インディアンスは24日(同25日)、松坂を自由契約にし、2日後の26日(同27日)に再契約を結んだ。
このめまぐるしい展開を、理解できなかった野球ファンも多いことだろう。それも無理からぬところだ。日本的にいえば、自由契約は「戦力外」。双方とも残留を望んでいるのに、なぜ自由契約になったのか疑問が残るからだ。
これは新たに施行された新労使協定の関係だ。11年11月にMLB機構と選手組合が結んだ新たな労使協定では、「マイナー契約でスプリングトレーニングに参加し、開幕の5日前までに解雇されなかったにもかかわらず、開幕ロースターに残されなかった選手は、10万ドル(約940万円)の支払いを受け、6月1日に自由契約となることができる」と決められている。
この制度はメジャーに残れなかった選手への救済措置で、ルール通りに行くなら、マイナーでのプレーを選択した松坂には10万ドルのボーナスが発生する。球団が自由契約にしたのは、戦力外とみなしたからではなく、ボーナスを破棄するためで、契約内容に細部の変更をした上で再契約に至ったのだ。
ただ、自由契約であるから、ルール上では他球団との交渉も可能になるため、DeNA・中畑清監督が「うちはその枠は取ってある」と獲得の意向を示すなど、国内で情報が混乱。松坂は24日、自身のツイッターで「誤報ではありませんが、もう少ししっかりした内容にしていただかないと、間違った認識をされている方がたくさんいるようなので…。日本にいる友人、知人に説明するのが大変です」とつぶやいて、かき消したほど。
難解なMLBのルールで、インディアンスと再契約した松坂は27日(同28日)、ホワイトソックスとのオープン戦に先発。5回1/3を投げて、5安打2失点とまずまずだった。開幕はマイナースタートとなったが、インディアンスの先発陣は3番手以降が不安定。マイナーでの出来次第だが、松坂が早期にメジャー昇格するチャンスは十分にありそうだ。
(落合一郎)