松坂は6月16日のシャーロット戦に先発し(現地時間)、被弾を含む4安打4失点で敗戦投手となった。左脇腹を痛め、リハビリに1カ月以上を要したため、まだ本調子ではない。同試合も「70球メド」という投球制限の下での“試運転”だった。
「ピッチング内容が良くありません。ストレートに本来のキレがなく、変化球で必死に凌いでいました」(現地特派記者の1人)
米メディアが正反対の『早期昇格』を予想する根拠は…。
「インディアンズは6月に入って、先発スタッフが総崩れしてしまいました。資金力が豊富なチームではありませんし、先発タイプの投手を途中補強するとは思えません。従って、ローテーションの4、5番手を頻繁に入れ換えながら中盤戦以降を戦っていくでしょう」
つまり、本調子とは程遠い松坂も駆り出されるというわけだ。
しかし、松坂の今後をこうも予想していた。
「松坂は日本のアマチュア時代からたくさんの修羅場を潜り抜けた投手だから、本調子でなくても最小失点に抑えるテクニックも持っています。その投球テクニックがあるから、松坂は『多少の無理が利く投手』とも位置づけられているんですよ」
無理をさせられたら、どうなるか…。
松坂の完全復活が遅れている理由は、怪我に尽きる。昨年6月、右ヒジのトミージョン手術もそうだが、リハビリ続きで体の筋力そのものが落ちているのだろう。オープン戦終盤に右ふくらはぎを故障。3Aで開幕を迎えた後も左脇腹を痛め、「故障のデパート」と皮肉る米報道もあったくらいだ。
「右手の指にマメができて、投げにくそうにしていた日もありました。復帰登板となった11日は40球までの投球制限でした。投球制限は左脇腹痛の再発を恐れたというよりも、体力面に不安があったからなんです。故障続きでまともな練習ができないので」(米国人ライター)
先の16日の先発も「70球メド」と、怪我の再発防止に配慮されたものだった。松坂の将来を考えれば、今季1年は調整に専念した方がいいのではないだろうか。
「いや、インディアンズ首脳陣が許しませんよ。100球前後の先発を2回くらい経験させたら、即昇格。ローテーションの4、5番手として投げさせられるでしょうね」(前出・同)
16日の登板を好意的に伝えた日本のスポーツ新聞もあったが、「手術前には程遠い。前回(11日)よりは良くなってきたが…」というのが、現地入り取材陣のホンネだ。こんな状態でメジャーに駆り出されたら、松坂はどうなってしまうのか。「投手生命に繋がるような大怪我も…」と不安視する米メディアもあるそうだ。
※メジャーリーグに関するカタカナ表記は、『メジャーリーグ名鑑2013年版』(廣済堂出版)を参考にいたしました。