「オールスター戦から『コリジョンルール』の見直しがされました。シーズン途中での見直しに選手会は反発し、NPB側は理解を求める説明にけっこうな時間を要しました」(ベテラン記者)
いまさらだが、コリジョンルールは本塁上での衝突事故を防ぐために導入されたもの。守備者は走路を防いではならないとあるが、ペナントレース前半で判定が「セーフ」に覆ったプレーは4件。その“セリーグ第一号”の餌食にされた阪神・金本知憲監督(48)は球団を介して抗議書を送っており、どのチームも同ルールの導入を歓迎しているようには見えなかった。それでも、選手会がゴネた理由は「シーズン途中での変更は現場を混乱させる」とのこと。説明にあたったNPB側は「ルール変更ではなく、運用基準を見直すだけ」と伝えたが、選手会側は納得していない。
「コリジョンルール導入を強く訴えたのも選手会なんです。昨季まで阪神に在籍していたマートンにタックルされ、病院送りにされた選手もいましたかね。1年早く同ルールを導入したメジャーリーグでも最初は混乱していました」(前出・同)
選手会が噛み付いたのは、コリジョンルールのことだけではなかった。
「来季の開幕戦の日程を巡って、NPBは再度選手会を説得することになりました」(球界関係者)
来季の開幕戦はセ、パともに3月31日となる。しかし、その前に重要イベントが控えている。第4回WBC大会だ。選手会側は同大会とペナントレース開幕日が「近すぎる」とし、4月7日開幕を訴えた。
「3月31日開幕」は発表されているので、決定事項なのだが、こんな声も聞かれた。
「WBCの前回大会前、選手会は『出ない』とギリギリまでゴネていました。コリジョンルール、日程の件で選手会は労使交渉2連敗です。このまま引き下がるとはと思えません」(プロ野球解説者)
コミッショナーが熊崎勝彦氏に代わって以来、NPBと選手会は良好な関係を築いてきた。NPB側は交渉を押し切ったものの、関係亀裂を懸念している。
「熊崎コミッショナーは評判が良い。過去のコミッショナーと違い、ほぼ毎日事務局に来て、書類に目を通し、担当職員とも打ち合わせをし、球団、選手会、取引先との相談事にも自ら加わっています。その熱心さに当初、氏のコミッショナー就任に反対だったパ・リーグも考えを改め、選手会とも良好な関係を築くことができました。コリジョンルール、日程問題など、話し合いだから、意見衝突があって当然ですが、今の熊崎体制を壊したくないという思いもあるようです」(前出・関係者)
コリジョンルールの運用基準については見解の違いをなくすため、再度の話し合いが行われる予定。日程問題でこじれ、第4回WBC大会を戦う侍ジャパンの士気に影響するようなことがなければいいのだが…。