「掛布二軍監督も坂井(信也=68)オーナーと直接会談しています。おそらく、自身の考えていること、やりたいことをその席上で伝え、お墨付きをもらったのではないか」(球界関係者)
話は少し逆上るが、トラの総帥・坂井オーナーが金本知憲監督(48)と会談の場を設けたのは、6月中旬。同オーナーが現場トップとこうした話し合いの場を設けることはこれまでもあった。ただ、前任者時代は常に進退問題が騒がれていたため、キナ臭い様相も漂っていた。同オーナーは会談前後に「全面支援」を何度も口にしたのは、下位に低迷する金本阪神への配慮もあったのだろう。掛布二軍監督とも会談したのは、その後の6月27日だった。
「金本監督とは少し早いですが、オフの補強のことも触れたそうです。外国人スラッガーの緊急補強やトレードの用意ができている旨も伝えたと聞いていますが、金本監督が現有戦力で戦いたいと突っぱねたそうです」(前出・同)
現有戦力で戦うとする一軍指揮官の言葉を受けた後での『掛布会談』だったので、その中身は、二軍調整中の中堅、若手に関する状況確認がメインになったという。しかし、それだけではなかった。掛布二軍監督は「二軍の在り方」についての持論をオーナーに訴えていたそうだ。
「掛布二軍監督は、二軍戦を前半と後半に分けて内容を変えたい、と。これから始まる後半戦は不振で一軍登録を外された中堅以上の選手を優先的に使い、二軍は再昇格のために徹するべきと訴えたそうです。前半戦と後半戦の在り方を変えることで一軍をサポートすべきだ、と」(同)
オーナーはこの掛布案を了承したという。その通りになれば、後半の二軍戦は“一軍別動隊”のようなラインアップとなる。後半戦全てを一軍経験者の調整に当てることはないだろうが、掛布二軍監督も前半戦とは異なる采配をしなければならなくなる。
「一般論として、二軍戦では『経験』を積ませるため、代打を送るべき場面でも打たせたり、イニングの途中で投手を交代させることは極めて少ない」(プロ野球解説者)
一軍経験者が『調整』で二軍戦に出るとき、実戦感覚を取り戻そうとするため、ヒットが出たかどうかの結果にはあまりこだわらない。しかし、一軍に再昇格してすぐに戦力になるように調整させるとなれば、結果も求められる。掛布二軍監督は一軍指揮官のような采配を振るうことになるのではないだろうか。
「金本監督の前半戦を振り返ってみると、二軍から上がってきた若手をすぐに使い、彼らもその期待に応えましたが、長続きしませんでした。今後、彼らの教育係である掛布二軍監督を一軍コーチに配置換えするというコーチスタッフの改造案も出てくるのでは?」(前出・プロ野球解説者)
掛布二軍監督のサポート案は「一軍コーチ昇格の含みも?」と思うのは、穿った見方だろうか。